豊中市第五次障害者長期計画  令和4年度(2022年度)実施状況報告書(概要版) “互いを認め支えあい、だれもが輝けるまち”をめざして ≪本報告書の趣旨≫  本書は、平成30年3月に策定した『豊中市第五次障害者長期計画』に対し、豊中市の障害者施策を引き続き計画的に推進していくとともに、地域包括ケアシステム・豊中モデルを推進するため、障害者団体や各種団体の代表、保健・医療・福祉関係者、行政関係者等で構成される豊中市障害者施策推進協議会及び豊中市障害者自立支援協議会のご意見・ご提案をいただきながら、本市の障害者施策に関わる事業の実施状況と課題、今後の取組等をまとめ、施策の充実・見直しについて検討を進めるため作成したものです。 ≪計画の位置づけ≫  この計画は、障害者基本法第11条第3項に基づく「市町村障害者計画」として、豊中市における障害者施策の基本的な計画となるもので、国や大阪府の定める計画等の内容を十分にふまえながら、「豊中市総合計画」の具体的な分野別計画として位置づけ、各分野の関連計画との整合・調整を図りながら策定しています。 ≪計画の対象≫  計画の推進には障害や難病の有無にかかわらず、すべての市民の理解と協力が必要となります。そのため、この計画は、豊中市内で暮らし、学び、働き、活動するすべての市民を対象とします。 ≪計画の期間≫  平成30年度(2018年度)から令和5年度(2023年度)までの6年間であり、本報告は令和4年度(2022年度)分の実施状況をとりまとめたものです。 基本理念                    ◆障害の有無によらず、だれもが互いを尊重しあうまち ◆だれもが自分らしい生活を実現できるまち               ◆みんなで支えあい、安心して暮らせるまち 目標  互いを認め支えあい、だれもが輝けるまち 令和4年度の主な取組や実施状況から見えてきた課題と今後の取組について ○一人ひとりが尊重され、ともに生きる社会 相談支援 特徴的な取組 ●相談支援事業について、ネットワークの構築と相談員のスキルアップに取り組むとともに、多機関連携について迅速な対応を行いました。 ●障害者基幹相談支援センター事業では、市域の相談支援事業所に対して学識経験者のスーパーヴァイズや法律相談などのバックアップを行いました。 中分類における課題 ●相談支援事業所へのニーズは高く、市内の事業所の増加が引き続き求められます。 ●障害者相談員の担い手の減少、相談員の連携が課題です。 今後の取組 ●多機関連携について、よりスムーズな対応を行えるよう取り組みます。 ●障害のある人やその家族の悩みや相談に対し、福祉・教育・療育・就労・地域生活などの分野で、本人のライフステージをふまえ総合的な相談や助言・情報提供を行います。 権利擁護 特徴的な取組 ●市民後見人オリエンテーション・養成講座を実施し、2人の新規バンク登録者を養成しました。 ●健康福祉サービス苦情調整委員会では、相談者の状況に応じてオンラインでの委員面談を実施しました。 中分類における課題 ●障害者虐待防止事業や成年後見制度利用支援事業については、引き続き、制度や窓口の周知啓発が必要です。 ●継続した市民後見人候補者の養成と受任者へのサポート体制の充実が必要です。 今後の取組 ●研修受講・虐待防止委員会の設置の義務化に対応し、市内事業者との連携強化を図ります。 ●新たな市民後見人受任スキームを実施し、市民後見人受任までの迅速な調整を行います。 ●健康福祉サービス苦情調整委員会におけるオンライン面談及び委員会の活用を行います。 障害者差別解消の取組・啓発交流 特徴的な取組 ●障害者差別解消支援地域協議会の代表者会議、相談事例部会を開催するとともに、実務者会議として、本協議会の委員で国連での障害者権利条約対日審査に参加された方を講師に、障害者権利条約について学ぶ研修会を実施し、その内容を市の公式YouTubeチャンネルで配信しました。 ●障害者啓発活動として、新型コロナウイルス感染症の影響により実施できなかった補助犬のイベントやアート展を実施しました。 ●市ホームページをアクセシビリティに留意して運用するとともに、市が制作する動画に手話映像を挿入するなど視覚的な情報発信に取り組みました。 中分類における課題 ●障害のある人への理解をさらに広げるため、情報発信の手法を工夫する必要があります。 ●「みんなの公共サイト運用ガイドライン」に基づき、市ホームページだけでなくすべてのウェブコンテンツにおいてアクセシビリティへの一層の配慮が求められます。 今後の取組 ●障害者差別解消支援地域協議会については、引き続き代表者会議、相談事例部会、実務者会議を実施し、障害者差別事例の共有や意見交換を通じて、障害者差別解消に向けた取組みを進めていきます。 ●定例の情報発信に加え、動画配信やLINEなど新たな情報発信手法の活用を検討し、発信内容を充実させていきます。 ○一人ひとりが輝くための自立と社会参加 療育・教育 特徴的な取組 ●公立・民間園合同研修により災害時の施設としての対応について学ぶ機会を設けるとともに、公立の障害児共生保育研究会で「医療的ケア児」についての実践発表を行い、意見交流ができました。 ●保育士等の支援者が、発達に課題がある子どもを早期発見し必要な支援へつなぐ力や、障害児及びその保護者を支援する力を高めるため、発達支援・障害児支援者研修を実施しました。 ●「豊中市障害児教育基本方針(改定版)」に基づき、支援学級に在籍する児童生徒が、より安心・安全に学校生活を送ることができる仕組みを進めることができました。 中分類における課題 ●経験年数の少ない保育者が増えている中、対応についての相談件数が増加しています。研修も含め、共に育つ視点での保育をどう進めていくかについて考える必要があります。 ●医療技術の進歩にともない重症心身障害児や医療的ケア児が増加しており、多様なニーズに対応できる事業所の確保が必要です。 ●学校においては支援を要する児童生徒の増加傾向が継続していること、障害特性が多様化しており、更なる人的・物的な条件整備を図る必要があります。 今後の取組 ●障害児通所支援事業者連絡会の側面的支援及び支援者研修、巡回訪問に係る業務を児童発達支援センターに移管し、充実を図ります。 ●子どもの育ちや発達特性等に応じた療育を提供することにより、人や物、活動への興味や関心を育むとともに、保護者の子どもへの適切な関わりについて支援を行います。 ●インクルーシブの環境で放課後こどもクラブ運営を実施するため、引き続き支援学校・支援級に在籍する児童に対する入会前面談及び指導員加配し、医療的ケア児への看護師加配を継続実施します。 雇用・就労 特徴的な取組 ●地域就労支援事業で障害のある人からの相談を107件受付し、就職につながった方は28人でした。 ●新型コロナウイルス感染症への配慮をしながら、障害者合同面接会を開催するとともに、求職者の定着支援を行い、事業者との信頼関係の強化にも取り組みました。 ●市長部局における障害のある人の雇用率は3.15%、全部局の雇用率は2.94%で、法定雇用率及び計画の目標を上回りました。精神障害・知的障害のある人を対象としたチャレンジ雇用を実施しました。 中分類における課題 ●更なる市内の障害福祉サービス事業所における就労移行支援体制の強化が必要です。 ●就労定着支援は、一般就労へ移行した障害のある人に対するサービスであり、更なる事業所の増加等が望まれます。 ●就労継続支援については、利用者の工賃向上、一般就労への移行希望者への対応等の課題について取り組む必要があります。 今後の取組 ●障害福祉サービス事業所への専門的スキル研修の実施、就労先企業の開拓、就労環境整備の助言等に併せ、自立支援協議会と連携し、就労後の課題を集約し、障害のある人への就労定着支援を図ります。 ●実習・就労体験の場として市役所等の職場を提供します。 ●「豊中市障害者活躍推進計画」の取組みを進めます。また、次期計画の策定に向けて、これまでの取組みの振り返り、新たな目標設定等を行います。 生涯学習、文化・スポーツ活動 特徴的な取組 ●障害福祉センターひまわりについては、利用者の新型コロナウイルス感染症対策の協力を得て貸室利用や有料団体の利用も少しずつ増えています。また、講座の定員を縮小しながらも、内容の充実を図り、中止することなく活動することができました。 ●障害者スポーツ事業については、令和元年度の参加者数に戻りつつあります。 ●豊中市デジタル図書館の開設によりアクセシブルな電子書籍の提供を開始しました。 中分類における課題 ●障害福祉センターひまわりの利用促進を図るため、若年層が参加できる時間帯等の検討が必要です。 ●障害者スポーツ事業については、引き続き、のびのびと身体を動かせる場を提供するとともに、感染症の影響で参加を控えていた方にも参加いただけるように働きかける必要があります。 今後の取組 ●障害のある人の教養の向上や様々な交流を促進し、日常生活の充実や社会参加の促進を図るため、柔軟な取組みや対応について検討していきます。 ●「豊中市立図書館みらいプラン」に沿って、市民の情報アクセス保障の拡充に取り組みます。 ○支えあい安心して暮らせる地域生活 保健・医療 特徴的な取組 ●「豊中市メンタルヘルス計画」実施計画に基づき多機関・多職種協働で相談事業や講座事業などメンタルヘルス対策の総合的かつ計画的な取組みを推進しました。 ●新型コロナウイルス感染症や社会情勢の影響を受け、多くの課題を抱える相談事案がこころの健康相談やコロナこころのケアダイヤルとよなかに寄せられました。 ●特定医療費(指定難病)支給認定申請者へ面接・電話を行い、患者のニーズを把握するとともに、医療・介護・福祉・就労の関係機関等と相互に連携し、患者のニーズに合った個別支援を行いました。 中分類における課題 ●保健所が把握した在宅で24時間人工呼吸器を使用している人全員に防災プラン作成できましたが、防災プランの更新とともに有事の際の安否確認や、新規対象者の把握が必要です。 ●難病の理解促進を図るための方策を検討していく必要があります。 今後の取組 ●メンタルヘルス計画に基づき、引き続き市民や関係者のメンタルヘルスリテラシー向上に努め、予防に取り組むとともに不調等への適切な対処ができるよう支援します。 ●「とよなかここサポプロジェクト」の取組みを職員、市民・関係機関職員向けに拡充して実施します。 ●ホームページやツイッター等を用いて、難病についての普及啓発を行います。 自立した生活の支援 特徴的な取組 ●新型コロナウイルス感染症の影響で外出自粛等が続いたため、居宅におけるサービスの需要が高まりました。 ●発達障害者支援事業については、これまでの支援や取り組みを総括し、切れめのない支援体制づくりのしくみを検討しました。 ●開設事業費を補助することにより、グループホームの整備が促進できました。 中分類における課題 ●一部の障害福祉サービスは、利用希望やニーズに対して受入事業所や定員が限られるなど、すぐに利用ができない状況にあります。特に医療的ケアに対応できる事業所の増加が望まれます。 ●発達障害者支援事業については、相談内容の多様化・複雑化により、円滑な多機関連携の手法や支援者側への支援、また専門職の安定した配置とスキルの確保が課題です。 ●手話通訳・要約筆記奉仕員については、派遣依頼数の増加傾向にあるため、新規登録者の確保が喫緊の課題です。 今後の取組 ●市内の事業者等を対象に、来年度以降のグループホームの開設予定について調査を行います。 ●手話通訳・要約筆記奉仕員については、担い手の確保につながる奉仕員養成事業を検討・実施します。 ●事業所指導・監査については、虐待防止や感染症対策の強化、身体拘束等の適正化、業務継続に向けた取組みの強化など、社会情勢に柔軟に対応しながら、指導業務を実施する必要があります。 生活環境 特徴的な取組 ●駅周辺地区のバリアフリー情報を収集・調査し、既存のバリアフリーマップの見直しを行うため、モデル地区として岡町駅地区のマップの見直しに取り組んでいます。 ●各部局の施策実施における障害のある人への配慮の推進について、庁内に周知しました。 中分類における課題 ●バリアフリーマスタープラン(移動等円滑化促進方針)に記載されている関連事業の進捗管理方法を新たに検討する必要があります。 今後の取組 ●駅周辺地区のバリアフリー情報を収集・調査し、既存のバリアフリーマップの見直しを行います。 ●市発信情報バリアフリー化ガイドラインについて、庁内で出前研修を行うなど、さらなる周知を進めていきます。 地域福祉の充実・生活安全対策 特徴的な取組 ●地域福祉ネットワーク会議では、民生・児童委員や校区福祉委員会、高齢・こども・障害の各分野の事業者などが参加する会議を実施し、地域での取り組みや課題について情報交換を行いました。 ●総合ハザードマップに掲載している情報を視覚障害のある人が取得し利用できるよう「総合ハザードマップ点訳版・音訳版」を作成し、提供しました。 中分類における課題 ●福祉なんでも相談については、新型コロナウイルス感染症等も含め、今後起こりうる感染症の拡大期における相談方法の創意工夫が課題です。 ●地域の防犯活動参加者の高齢化が課題です。 ●災害を想定した福祉避難所での訓練の実施や、大規模災害時に被災者を受け入れる福祉避難所の確保などが課題です。 今後の取組 ●福祉なんでも相談窓口が地域の寄りやすい場所となるよう周知するとともに活動内容の検討を行います。 ●全市一斉訓練(災害対策本部設置訓練・安否確認訓練・避難所開設訓練・消火救命訓練)を実施し、災害対応力の向上を図ります。