豊中市第六次障害者長期計画 令和6年度(2024年度)実施状況報告書【概要版】 “互いを認め支えあい、だれもが輝けるまち”をめざして ≪本報告書の趣旨≫ 本市では、『豊中市第五次障害者長期計画』の計画期間が令和5年度(2023年度)をもって終了したことから、豊中市の障害者施策を引き続き計画的に推進していくとともに、地域包括ケアシステム・豊中モデルを推進するため、新たに令和6年度(2024年度)を初年度とした『豊中市第六次障害者長期計画』を策定しました。 本書は、この趣旨に基づき、障害者団体や各種団体の代表、保健・医療・福祉関係者、行政関係者等で構成される豊中市障害者施策推進協議会及び豊中市障害者自立支援協議会のご意見・ご提案をいただきながら、本市の障害者施策に関わる事業の実施状況と課題、今後の取組み等をまとめ、施策の充実・見直しについて検討を進めるため、令和6年度(2024年度)分の実施状況についてとりまとめたものです。 ≪計画の位置づけ≫ 『豊中市第六次障害者長期計画』は、障害者基本法第11条第3項に基づく「市町村障害者計画」として、豊中市における障害者施策の基本的な計画となるもので、国や大阪府の定める計画等の内容をふまえながら、豊中市のまちづくりの基本方針である『豊中市総合計画』の具体的な分野別計画として位置づけ、『豊中市地域福祉計画』(「豊中市地域包括ケアシステム推進基本方針」を含む)等の上位計画及び他の関連計画との整合・調整を図り策定しています。 ≪計画の対象≫ 計画の推進には、障害や難病の有無にかかわらず、すべての市民の理解と協力が必要となります。そのため、この計画は、豊中市内で暮らし、学び、働き、活動するすべての市民を対象とします。 ≪計画の期間≫ 令和6年度(2024年度)から令和11年度(2029年度)までの6年間です。 基本目標 1 一人ひとりが尊重され、ともに生きる社会 2 多様な選択ができ、自分らしく輝くための自立と社会参加 3 みんなで支えあい、安心して暮らせる地域づくり 令和6年度の主な取組みや評価・課題 基本目標1 一人ひとりが尊重され、ともに生きる社会 主要施策 (1)相談・権利擁護 特徴的な取組み ●【基幹相談支援センター事業・障害者相談支援事業】複合的な課題に柔軟かつ迅速な対応を行うため、体制を整備するなどネットワークの再構築と、相談員のスキルアップに取り組みました。 ●【成年後見制度利用促進事業】相談支援機関や専門職団体等による権利擁護支援の地域連携ネットワークの機能強化を図るため、令和6年度より作業部会を設置し関係機関と実務担当者がより具体的な取り組みについて意見交換を行いました。 評価・課題 ●【基幹相談支援センター事業・障害者相談支援事業】相談支援の件数増加に伴う市域の相談支援事業に対しての連携・バックアップ、相談員の担い手の減少、連携が課題です。 ●【選挙権行使に対する支援】物品等ハード面の充実とは別に投票時における障害者との円滑なコミュニケーションに資するため、ソフト面での一層の充実が求められます。 主要施策 (2)差別の解消・啓発交流 特徴的な取組み ●【啓発活動】障害者啓発活動委員会とともに、令和5年度まで個別に実施していたパネル展、アート展、ステージパフォーマンス、授産製品の販売を一体化した障害者週間に合わせた啓発イベント「素のままが、ええやん!♪」や、市内スーパーマーケットと協働で補助犬啓発イベントを開催しました。 ●【障害福祉センターひまわりにおける障害のある人とともに活動できる場の提供】週2回開店しているカフェは、障害のある人の就労の場として機能し、カフェ利用者との交流を促進する体験の場を提供しました。 評価・課題 ●【出前講座を通じた障害者理解の促進】障害の特性・支援方法・手話などについて、実演や体験などを交えて伝え、障害と障害のある人に対する理解を深める機会となりました。 ●【障害者差別解消支援地域協議会】令和6年4月1日の障害者差別解消法の改正施行に伴い、これまで以上に行政・民間事業者が連携して、障害者差別解消に向けた取り組みを進める必要があります。 主要施策 (3)情報アクセシビリティ・意思疎通支援 特徴的な取組み ●【バリアフリー化推進事業】令和5年(2023年)6月に作成したバリアフリーマップ(岡町駅地区)に加え、他の市内駅周辺地区についても、バリアフリー情報の取集・調査を行い、冊子およびデジタル版の作成に取り組みました。 ●【多様な媒体による情報提供の推進】市議会本会議の代表質問・個人質問において、傍聴の希望者に対して手話通訳、要約筆記(ノートテイク)を行っていることを議会報や市ホームページで周知しました。 評価・課題 ●【バリアフリー化推進事業】公開するバリアフリーマップには、民間施設を含む多数の生活関連施設が掲載されており、情報が最新になるよう更新を継続する必要があります。(デジタル版で更新予定) ●【手話通訳・要約筆記奉仕員派遣】手話通訳者・要約筆記者の社会的認知度向上と理解促進が課題です。 基本目標2 多様な選択ができ、自分らしく輝くための自立と社会参加 主要施策 (1)障害児支援 特徴的な取組み ●【認定こども園等教育・保育推進事業】「発達障害の特性とその対応方法について」、「インクルーシブ教育保育について」をテーマに公立・民間園合同研修を行い、実践を持ち寄っての職員の交流を通して学び合いました。 ●【支援職員配置事業】支援学級における生活介助及び学習補助として介助員(現支援教育サポーター)を配置しました。また、日常的に医療的ケアを必要とする児童生徒がいる学校には、市立豊中病院と連携し、必要な時間帯に看護師を派遣する調整を行いました。 評価・課題 ●【障害児相談支援】子どもの障害特性や保護者ニーズが多様化する中、通所支援事業所等の社会資源の情報を把握し、適切なサービスを提供していく必要があります。 ●【支援職員配置事業】支援学級在籍児童・生徒の増加傾向が継続していること、障害特性が多様化しており、様々な対応が求められるため、介助員(現支援教育サポーター)の増員に取り組みました。支援を要する児童生徒の増加は今後も見込まれるため、介助員(現支援教育サポーター)の人材確保が課題です。 主要施策 (2)雇用・就労 特徴的な取組み ●【障害者職場体験実習】最低受け入れ期間(3日間)にわたって準備できる業務がないという課題から、1課あたりの業務量が少ない場合は複数課の合同で受け入れることで、より多くの課が受け入れられるようにしました。 ●【障害者就労支援事業】全庁より依頼された印刷業務や、連絡便配達、郵便仕分け等の業務に加え、庁内向け啓発紙の作成やデータ入力等、パソコンを使った新たな業務にも挑戦することで、業務開拓を行いました。 評価・課題 ●【採用試験事務】市長部局および全部局において、法定雇用率を上回りました。 ●【授産製品等あっせん販売】一部の職員からの購入が低迷した一因としてECサイト経由の販売となったことが考えられることから、全職員に向けた環境の構築が必要です。また、職員のアンケートを事業所にフィードバックする等をとおして、魅力ある商品づくりに向けた取り組みを進める等の工夫が不可欠です。 主要施策 (3)生涯学習、文化芸術・スポーツ活動 特徴的な取組み ●【図書館活動・すべての人への資料提供事業】図書館システムのリプレイスに合わせ、豊中市立図書館の利用登録や、登録更新、登録情報の変更を、豊中市電子申込システムを使用し来館せずにできるようにしました。 ●【障害者や高齢者等に対する文化芸術に関する取組み】人材育成事業である「とよなかARTSワゴン」を実施しました。小学校や老人ホーム、障害者施設を「ふれアート」というアウトリーチを通して登録アーティストを通じて音楽に触れ親しむ機会を提供しました。 評価・課題 ●【スポーツに親しめる環境の整備】令和6年度から対象年齢を17歳までに拡大したことによるこの年代の人数の増加はみられませんが、全体的な数字をみると令和6年度の参加者は113人と前年の32人に比べ大幅に増加しています。 ●【ブックスタート事業】障害のある人も楽しめる絵本の展示・紹介を継続的に行うことができました。その本を必要としている赤ちゃんに届けられるよう、今後も広く周知することが必要です。 基本目標3 みんなで支えあい、安心して暮らせる地域づくり 主要施策 (1)保健・医療 特徴的な取組み ●【医療体制の構築・強化】豊中市地域医療推進基本方針を10月に改定するとともに市の医療体制に係る医療資源データをまとめた別冊を新たに作成のうえ関係機関や市民に示し、理解促進に努めました。 ●【難病事業】保健所が把握した在宅人工呼吸器常時使用者と、電源を必要とする医療機器を常時使用する在宅療養難病患者に個別の「防災プラン」を作成し、関係機関と情報共有しました。 評価・課題 ●【障害者医療費助成事業】デジタル庁が公募した「自治体・医療機関等をつなぐ情報連携システム(PMH:Public Medical Hub)の先行実施事業」に本市が採択され、一部の医療機関等でマイナ保険証を障害者医療証として利用し受診できるようになりました。 ●【精神保健福祉相談】メンタルヘルスに関する相談や支援のニーズは多様化しており、様々な分野でメンタルヘルス問題への対応が求められていることから、引き続き多機関・多職種が協働・連携し、包括的な相談支援体制の充実に向けた取り組みが必要です。 主要施策 (2)生活支援 特徴的な取組み ●【発達障害者支援事業】市民講座で成人期の発達障害について啓発したほか、延べ256件の個別支援を行いました。 ●【医療的ケアのある重症心身障害者支援にかかる施設運営補助】医療的ケアのある重症心身障害者の自宅以外での活動や生活の場を確保するため、対象となる人を受け入れた障害福祉サービス事業所に対して、補助を行いました。 評価・課題 ●【発達障害者支援事業】障害者相談支援センターとの役割分担や連携を進め、協働するケースが増加しました。相談内容の多様化・複雑化により、円滑な多機関連携の手法や、支援者側への支援が課題です。 ●【施設入所支援】利用希望に対して、受け入れ事業所が待機状態であり、すぐに利用ができない状況です。地域移行ニーズと必要なサービス量のバランス調整が必要です。 主要施策 (3)地域福祉活動と人材育成・確保 特徴的な取組み ●【福祉人材確保事業】介護職員初任者研修等を修了した人に資格取得助成金として受講費用の一部(上限5万円)を助成しました。また、介護職員として市内事業所で勤務する人に、就職応援助成金として15万円を助成しました。 評価・課題 ●【地域福祉ネットワーク会議】各圏域の取り組みや課題を共有することができました。引き続き、分野をこえた地域でのつながりづくりに取り組んでいきます。 主要施策 (4)生活環境・生活安全対策 特徴的な取組み ●【消防一声訪問】対象者7,114人のすべての住戸を訪問し、火災等の災害時の避難や救出に必要な情報を聴取するとともに、火災予防指導を行いました。 ●【バリアフリー化の推進】豊中市バリアフリー推進協議会にて希望のあった案件についてチェックシステムを実施し、意見に基づき整備を行いました。 評価・課題 ●【バリアフリー化推進事業】整備が可能な箇所のバリアフリー化(歩道拡幅、段差・勾配解消、点字ブロック設置、区画線の設置、路側帯のカラー化等)を図るため、財源の確保と経済的で効果的な改良手法の実施が必要です。