障害を理由とする差別の解消の推進に関する豊中市職員対応要領[令和7年(2025年)4月実施]の構成と概要 第1章 趣旨 ○根拠法令 障害者差別解消法第10条第1項 ○対応要領の目的 法が行政機関等に対し不当な差別的取扱を禁止するとともに合理的配慮の提供を法的義務としたことを受け、障害を理由とする差別について、職員の関心と理解を深める。 ○法制定の背景と考え方 ・社会における障害や障害者に対する理解不足が原因と思われる差別事例が少なくなく、この理解不足が、障害者の生きにくさにつながっているため、法は、障害者と障害のない人の相互理解により、共生社会の実現をめざしている。 ・この対応要領は、職員が障害者差別かどうか判断に迷うことがあった場合の対応について考え、対話し、理解し合うツールの一つであるとともに、この内容を公表することで、市民一人ひとりの、障害に関する正しい知識の取得や理解が深まり、障害者との建設的対話による相互理解が促進され、取組の裾野が一層広がることを期待するもの。 ○対応要領の対象範囲 (1)障害者(障害者基本法第2条) 難病患者を含む全ての障害者(いわゆる障害者手帳の所持者に限られない) (2)職員 全ての市職員(再任用職員、会計年度任用職員、任期付職員等全ての雇用形態を含む。)及び本市業務の受託事業者や指定管理者(再委託または第三者委託を受ける者を含む。以下「受託事業者等」という。)のうち市民と接する機会のある業務を行うもの ※教職員を含む。 (3)対象分野 本市が事務・事業を行う分野。 ただし、本市が事業主として職員に行う措置を除く。 (4)「合理的配慮」の範囲(環境の整備との関係) 判断の視点 ・ 合理的配慮 個々の場面において、障害者から何らかの配慮を求める意思の表明があった場合に、負担になりすぎない範囲で、社会的障壁を取り除くために必要で合理的な配慮。 →職員の個別の配慮による対応。 ・環境の整備 不特定多数の障害者を主な対象として、事前に行われる恒常的な改善措置。 →市としての組織的対応により、障害者差別の解消に向けた取組として計画的に推進する。 行政機関の義務 ・合理的配慮 法的義務(法第7条第2項) ・環境の整備 努力義務(法第5条) ※他の法令により義務となっているものもある。 例 ・合理的配慮 ○車いすの人が段差のある場所に行くために、車いすを持ち上げる。 〇ゆっくりはっきりと話したり、コミュニケーションボードなどを用いたりして意思疎通を行う。 ・環境の整備 ○コミュニケーションを支援したり、介助を行う職員の加配。 ○市施設等のバリアフリー化。 ○職員研修 ○作成手続及び見直し手続 ・必要に応じて、見直し、適時、充実を図る。 ・作成及び見直しにあたっては障害者等の意見を聞く。 ・対応要領を公表する。    コラム:公共サービス窓口で働く職員が配慮すべき基礎的事項 1)相手の「人格」を尊重し、相手の立場に立って応対します 2)障害の有無や種類に関わらず、困っている方には進んで声をかけます 3)コミュニケーションを大切にします 4)柔軟な応対を心がけます 5)不快になる言葉は使いません 6)プライバシーには立ち入りません 第2章 障害を理由とする不当な差別的取扱及び合理的配慮の基本的な考え方 ○障害を理由とする不当な差別的取扱の禁止(法第7条第1項) 職員は障害者に対して、不当な差別的取扱を行ってはならない。 障害を理由とする不当な差別的取扱の定義 障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、 ・市が行う給付及びサービスや各種機会の提供を拒否する ・提供に当たって場所・時間帯などを制限するなど、障害者でない者に対しては付さない条件を付ける ・補助犬、車いすや視覚障害者が使用する音声読み上げ機器など支援機器の利用、介助者の付添い等の社会的障壁を解消するための手段の利用等を理由として行われる不当な差別的取扱 などにより、障害者の権利利益を侵害すること。 ○合理的配慮を行う義務(法第7条第2項) 職員は障害者に対して、合理的配慮を行わなければならない。 合理的配慮の定義 その事務・事業を行うに当たり、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について行う、必要かつ合理的な配慮のこと。 第3章 障害を理由とする不当な差別的取扱及び合理的配慮の具体例 ○障害を理由とする不当な差別的取扱に「該当する」と考えられる具体例 ・障害があることを理由に、窓口対応を拒否する。 ○障害を理由とする不当な差別的取扱に「該当しない」と考えられる具体例 ・実習を伴う講座において、実習に必要な作業の遂行上具体的な危険の発生が見込まれる障害特性のある障害者に対し、当該実習とは別の学習を設定する。(障害者本人の安全確保の観点) ○合理的配慮の具体例 ・物理的環境への配慮の例:手の届かないところに設置された申込書類を取って渡す。 ・意思疎通への配慮の例:聴覚障害者と会話するときは、本人の希望を確認して、口の動きがはっきり分かるように配慮したり、筆談、手話を用いるなど、柔軟な対応を行う。 ・ルール・慣行の柔軟な変更の例:外出が困難な人に対して、郵送での手続を認める。 ○合理的配慮の提供義務違反に「該当する」と考えられる具体例 ・イベント会場内の移動に際して支援を求める申出があった場合に、「何かあったら困る」という抽象的な理由で具体的な支援の可能性を検討せず、支援を断ること。 ○合理的配慮の提供義務違反に「該当しない」と考えられる具体例 ・事務の一環として行っていない業務の提供を求められた場合に、その提供を断ること。 (必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られることの観点) 第4章 相談体制の整備 ・障害者差別に限定した新たな相談機関は設置せず、案件の内容に応じた既存の相談窓口を明確にするとともに、相談などに対応する職員の業務の明確化などを図る。 ・各職場において障害者差別に係る相談や合理的配慮を求められたときの対応結果を障害福祉課が集約する。 第5章 職員等への研修 本市職員について行うとともに、市民と接する機会のある業務を受託する事業者(再委託・第三者委託を含む)との契約または協定においても、人権研修の実施及びその実施結果の報告を求める。 資料 障害特性と必要な配慮及び参考リンク集(関連条文・引用文献等)