障害を理由とする差別の解消の推進に関する豊中市職員対応要領 平成28年(2016年)4月実施 障害を理由とする差別の解消の推進に関する豊中市職員対応要領 目次 第1章 趣旨  1 根拠法令  2 対応要領の目的  3 法制定の背景と考え方  4 対応要領の対象範囲  (1) 障害者(障害者基本法第2条)  (2) 職員   (3) 対象分野  (4)「合理的配慮」の範囲  5 対応要領に記載されている事例の取扱  6 作成及び見直し手続 コラム:公共サービス窓口で働く職員が配慮すべき基礎的事項 第2章 障害を理由とする不当な差別的取扱及び合理的配慮の基本的な考え方  1 障害を理由とする不当な差別的取扱の禁止(法第7条第1項)  (1) 障害を理由とする不当な差別的取扱の定義  (2) 判断の視点  (3) その他留意すべき点  2 合理的配慮を行う義務(法第7条第2項)  (1) 合理的配慮の定義  (2) 判断の視点  (3) その他留意すべき点 第3章 障害を理由とする不当な差別的取扱及び合理的配慮の具体例  1 「障害を理由とする不当な差別的取扱」の具体例  2 「合理的配慮」の具体例  (1) 物理的環境への配慮  (2) 意思疎通への配慮  (3) ルール・慣行の柔軟な変更 第4章 相談体制の整備(法第14条) 第5章 職員等への研修  1 本市における職員に対する研修  2 受託事業者等における研修 様式1 合理的配慮の申出又は障害者差別に関する相談の報告について(省略) 様式2 合理的配慮の申出又は障害者差別に関する相談 報告書(省略) 資料(障害種別の特性)  視覚障害のある人  聴覚・言語障害のある人  肢体不自由のある人  内部障害のある人  知的障害のある人  発達障害のある人  精神障害のある人  難病患者 資料(関連条文)  障害者の権利に関する条約(抜粋)  障害者基本法(昭和45年法律第84号)(抜粋)  障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)(抜粋) 障害を理由とする差別の解消の推進に関する豊中市職員対応要領 第1章 趣旨 1 根拠法令   障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第10条第1項 2 対応要領の目的   法は、行政機関等の事務・事業の公共性から、障害者差別の解消に率先して取り組む主体として、不当な差別的取扱の禁止及び合理的配慮の提供を行政機関等の法的義務とし、その職員による取組を確実なものとするため、対応要領を定めることを求めています。 この障害を理由とする差別の解消の推進に関する豊中市職員対応要領(以下「対応要領」という。)」は、法に基づいて、何が差別に当たるのか、合理的配慮としてどのような措置が望ましいのかなどについて基本的な考え方や具体的な事例等をわかりやすく記載することで、障害を理由とする差別について、職員の関心と理解を深めるために作成したものです。また、併せて、職員の適切な対応に必要な相談窓口や、職員の適切な対応を身につけるための職員研修等についても記載しています。 3 法制定の背景と考え方 平成26年度(2014年度)に『第4期豊中市障害福祉計画』策定のために障害のある市民に対して行った意識調査においても、回答者の40%が差別を受けたり嫌な思いをした経験があると回答しています。 差別の事例を見ると、社会における障害や障害者に対する理解不足が原因と思われることが少なくありません。この理解不足によりつくられた社会の仕組みや意識が、障害者の生きにくさにつながっています。 法は、障害者と障害のない人が理解し合うこと(相互理解)により、共生社会の実現をめざしています。 障害を理由にした差別かどうか判断に迷うことがあった場合には、どのように対応すればよいのかを考え、対話し、理解し合うツールの一つとしてこの対応要領を活用していきます。 さらに、この対応要領を公表することで、市民一人ひとりの、障害に関する正しい知識の取得や理解が深まり、障害者との建設的対話による相互理解が促進され、取組の裾野が一層広がることを期待するものです。 現在において障害のない人も、病気や事故、高齢化により、日常生活や社会生活で不便を感じ、様々な配慮を必要とするようになることも考えられます。障害者に対する配慮は、すべての人への配慮につながります。障害を理由とする差別をなくす取組を進めることは、誰もが暮らしやすい共生社会をつくっていくことになります。誰もが暮らしやすい共生社会をつくっていくために、障害の有無にかかわらず共に助け合い・学び会う精神の涵養が必要です。 4 対応要領の対象範囲   (1) 障害者(障害者基本法第2条) 対象となる障害者は、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害及び高次脳機能障害を含む。)その他の心身の機能の障害(難病に起因する障害を含む。以下「障害」と総称する。)がある人であって、障害及び社会的障壁※1により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある人です。 ※1→障害者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるようなもの(以下は例)  @社会における事物(通行・利用しにくい施設・設備など)  A制度(利用しにくい制度など)  B慣行(障害者の存在を意識していない慣習・文化など)  C観念(障害者への偏見など) ※法が対象とする障害者は、いわゆる障害者手帳の所持者に限られません。 ※特に、障害に加えて性別、国籍、年齢により、更に複合的に困難な状況に置かれている場合があること、障害児には、成人の障害者とは異なる支援の必要性があることに留意します。 ※障害種別の特性については資料に掲載しています。 (2) 職員   全ての市職員(再任用職員、非常勤職員、短時間職員等全ての雇用形態を含みます。)及び本市業務の受託事業者や指定管理者(再委託または第三者委託を受ける者を含む。以下「受託事業者等」という。)のうち市民と接する機会のある業務を行うもの ※教職員を含みます。   (3) 対象分野   本市が事務・事業を行う分野が、広く対象となります。 ただし、本市が事業主としての立場で労働者に対して行う障害を理由とする差別を解消するための措置については、法第13条により、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)の定めるところによることとされています。   (4) 「合理的配慮」の範囲 この対応要領は、「障害を理由とする不当な差別的取扱」及び「合理的配慮」などについて基本的な考え方や具体的な事例等をわかりやすく記載するものですが、「合理的配慮」と密接な関わりを持ち、かつ、障害者及び関係者から要望が多いものの中に「環境の整備」があります。 「合理的配慮」は、個々の場面において、障害者から何らかの配慮を求める意思の表明があった場合に、負担になりすぎない範囲で、社会的障壁を取り除くために、職員が個別に行うものです。詳しくは第2章2以降を参照ください。 一方、「環境の整備」は、不特定多数の障害者を主な対象として、事前に行われる恒常的な改善措置で、組織的対応と多くの場合予算を伴い、議会による審議等、既存の市の意思決定プロセスを経て実施していくものです。この「環境の整備」についても、関係法令、投資負担の軽減をもたらす新しい技術開発の動向をふまえ、豊中市第四次障害者長期計画の進行管理を行いながら推進していきます。 両者の違いは、次の表のとおりです。 判断の視点 ・合理的配慮 個々の場面において、障害者から何らかの配慮を求める意思の表明があった場合に、負担になりすぎない範囲で、社会的障壁を取り除くために必要で合理的な配慮。 →職員の個別の配慮により対応。   ・環境の整備 不特定多数の障害者を主な対象として、事前に行われる恒常的な改善措置。 →市としての組織的対応により、障害者差別の解消に向けた取組として計画的に推進する。 行政機関の義務 ・合理的配慮(法第7条第2項) 法的義務 ・環境の整備 努力義務(法第5条) ※他の法令により義務となっているものもある。 例 ・合理的配慮 ○聴覚障害者に対して筆談で説明する。 ○視覚障害者のため、代読する。 ○車いすの人が段差のある場所に行くために、車いすを持ち上げる。 ・環境の整備 ○コミュニケーションを支援したり、介助を行う職員の加配。 ○庁内放送の内容を庁内の壁に掛けた掲示板にも載せる仕組みの整備。 ○市施設等のバリアフリー化。 ○市ホームページのユニバーサルデザイン化。 ○市民に送付する文書、チラシ、ポスター等について、文字の大きさや色彩のコンストラストに配慮する。また、読みにくい漢字にはルビ打ちをする。 ○職員研修 5 対応要領に記載されている事例の取扱 記載された事例がすべてではありません。不当な差別的取扱となりうる事例に記載されていないものは差別ではないということではありません。また、記載されている事例であっても、差別に当たるかどうかは、個別の事例ごとに判断する必要があります。 合理的配慮は障害の特性や配慮が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様で個別性の高いものですので、対応要領では望ましい合理的配慮の事例を記載していますが、この事例以外にも合理的配慮に該当するものはあるので、各職場での取組をお願いします。 6 作成及び見直し手続   市長は、対応要領の作成に当たり、障害者その他の関係者の意見を反映させるために障害者その他の関係者を構成員に含む豊中市障害者施策推進協議会の部会の意見を聞くとともに、作成後は、対応要領を公表します。 技術の進展、社会情勢の変化等は、特に、合理的配慮について、その内容、程度等に大きな進展をもたらし、また、実施に伴う負担を軽減し得るものです。市長は、法の施行後においては、こうした動向や、不当な差別的取扱及び合理的配慮の具体例の集積等をふまえるとともに、国際的な動向も勘案しつつ、必要に応じて、対応要領を見直し、適時、充実を図るものとします。 市長は、法の施行後3年を経過した時点には、豊中市障害者施策推進協議会における障害者差別の解消も含めた障害者長期計画の実施状況に係る監視の結果もふまえて、対応要領についても併せて所要の検討を行うものとします。市長は、対応要領の見直しに当たっても、障害者その他の関係者の意見を反映させるために障害者その他の関係者を構成員に含む豊中市障害者施策推進協議会の部会の意見を聞きます。 「第2章 障害を理由とする不当な差別的取扱及び合理的配慮の基本的な考え方」に入る前に、公共サービス窓口で働く職員が配慮すべき基礎的事項を以下にまとめます。 (1)相手の「人格」を尊重し、相手の立場に立って応対します ・相手の立場に立って「明るく」「ていねいに」分かりやすい応対を心がけます。 ・介助の方や手話通訳の方等ではなく、障害のある人本人に直接応対するようにします。 ・何らかの配慮が必要と思う場合でも、思い込みや押し付けではなく、本人が必要と考えていることを確認します。 ・車いすの人に対応する際には姿勢を低くするなど、目線が同じになるように対応します。 (2)障害の有無や種類に関わらず、困っている方には進んで声をかけます ・窓口を訪れる方の障害の有無や種類は明確でないため、常に来訪者の中に障害のある方も含まれていることを念頭に置いて、困っていそうな状況が見受けられたら、速やかに適切な対応をするようにします。 ・障害の種類や内容を問うのではなく、「どのようなお手伝いが必要か」を本人にたずねます。 (3)コミュニケーションを大切にします ・コミュニケーションが難しいと思われる場合でも、敬遠したり分かったふりをせず、「ゆっくり」「ていねいに」「くり返し」相手の意思を確認し、信頼感の持てる対応をこころがけます。 (4)柔軟な応対を心がけます ・相手の話を良く聞き、訪問目的を的確に把握し、「たらい回し」にしないようにします。 ・応対方法がよく分からないときには、一人で抱えず周囲に協力を求めます。 ・想定外のことがおきても、素早く柔軟に対応します。 (5)不快になる言葉は使いません ・差別的な言葉はもとより、不快に感じられる言葉や子ども扱いした言葉は使いません。 ・障害があるからといって、ことさら特別扱いした言葉は使いません。 (6)プライバシーには立ち入りません ・障害の原因や内容について、必要がないのに聞いたりしません。 ・仕事上知り得た個人の情報については、守秘義務を守ります。 参考 障害者施策推進本部発行『公共サービス窓口における配慮マニュアル』(平成17年(2005年)) 第2章 障害を理由とする不当な差別的取扱及び合理的配慮の基本的な考え方 1 障害を理由とする不当な差別的取扱の禁止(法第7条第1項) 職員は障害者に対して、不当な差別的取扱を行ってはならない。 (1) 障害を理由とする不当な差別的取扱の定義 障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、 ○市が行う給付及びサービスや各種機会の提供を拒否する ○提供に当たって場所・時間帯などを制限するなど、障害者でない者に対しては付さない条件を付ける などにより、障害者の権利利益を侵害すること。 (2) 判断の視点 @ 正当な理由がある場合 客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合です。 正当な理由に相当するか否かについて、個別の事案ごとに、障害者、第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保全、事業の目的・内容・機能の維持、損害発生の防止等)及び本市の事務・事業の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要です。   A 不当な差別的取扱とはならない場合 障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱ではありません。 ○障害者を障害者でない者と比べて優遇する取扱(いわゆる積極的改善措置) ○障害者に対する合理的配慮の提供による障害者でない者との異なる取扱 ○合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障害者に障害の状況等を確認すること (3)その他留意すべき点 各職場において正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めます。 2 合理的配慮を行う義務(法第7条第2項) 職員は障害者に対して、合理的配慮を行わなければならない。 (1) 合理的配慮の定義 その事務・事業を行うに当たり、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について行う、必要かつ合理的な配慮のこと。   国の基本指針では、「物理的環境への配慮」「意思疎通への配慮」「ルール・慣行の柔軟な変更」の3つのカテゴリを挙げています。 (2) 判断の視点 ○合理的配慮は、本市の事務・事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られ、障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのもので、事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないものです。 ○合理的配慮は、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであり、当該障害者が現に置かれている状況をふまえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、後述する過重な負担の基本的な考え方の要素を考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされるものです。さらに、合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わりうるものです。 ○意思の表明は、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む)により伝えられます。 また、障害者からの意思表明のみでなく、知的障害や精神障害(発達障害を含む。)等により本人の意思表明が困難な場合には、障害者の家族、介助者等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含みます。 なお、意思の表明が困難な障害者が、家族、介助者等を伴っていない場合など、意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、法の趣旨に鑑みれば、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な配慮に努めます。 ○合理的配慮は、障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、介助者等の人的支援、情報アクセシビリティ※2の向上等の環境の整備を基礎として、個々の障害者に対して、その状況に応じて職員が個別に実施する措置です。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なります。 ※2→年齢や身体障害の有無に関係なく、誰でも必要とする情報に簡単にたどり着け、利用できること。 ○過重な負担については、各職場において、個別の事案ごとに、以下の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断します。  〇事務・事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か)  ○実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)  ○費用・負担の程度や財政・財務状況  ○事務・事業規模     ○合理的配慮の提供に当たっては、障害者の性別、年齢、状態等に配慮します。 (3) その他留意すべき点 合理的配慮は、障害者が受ける制限は、機能障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとのいわゆる「社会モデル※3」の考え方をふまえたものです。 合理的配慮を必要とする障害者が多数見込まれる場合、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮の提供ではなく、環境の整備を考慮に入れることにより、より人権を尊重した市政運営や、中・長期的なコストの削減・効率化につながることを念頭に、対応を検討していきます。 各職場において、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めます。 ※3→障害者が受ける制限は、障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものであるととらえる考え方 第3章 障害を理由とする不当な差別的取扱及び合理的配慮の具体例   1 「障害を理由とする不当な差別的取扱」の具体例 以下の事例は、あくまでも例示で、これらに限定されたものではありません。また、客観的に見て、正当な理由が存在する場合は、不当な差別的取扱に該当しないものがあると考えられます。   (1) 正当な理由なく、障害を理由として、市が行う給付及びサービスや各種機会の提供について、拒否する ○障害があることを理由に、窓口対応を拒否する。 ○障害があることを理由に、市施設の利用を拒否する。 ○市施設で、身体障害者補助犬※4を同伴することを拒否する。 ※4→次の3種類です。@盲導犬(視覚障害者が安全に快適に歩くお手伝いをする)、A聴導犬(タッチをするなど色々な動作を使って聴覚障害者に音を知らせる)、B介助犬(ドアの開閉・指示された物を持ってくる、不測の事態が起きた時に人を呼びに行くなど日常生活の手助けをする) (注)身体障害者補助犬法は、国や地方自治体が管理する施設に対し、補助犬同伴を拒むことを原則禁止しています。また、補助犬を使う身体障害者は、補助犬の体を清潔に保つとともに、予防接種及び検診を受けさせることにより、公衆衛生上の危害を生じさせないよう努める義務があります。 ○障害のある子どもに対し、障害の特性に応じた代替案の検討等の配慮も無しに、体育や実習科目への参加を拒否する。 (2) 正当な理由なく、障害を理由として、市が行う給付及びサービスや各種機会の提供に当たって場所や時間帯などを制限するなど、障害者でない者に対しては付さない条件を付ける ○障害があることを理由に、対応の順序を後回しにする。 ○障害があることを理由に、書面の交付、資料の送付、パンフレットの提供等を拒否する。 ○障害があることを理由に、説明会等への出席を拒否する。 ○事務・事業の遂行上、特に必要ではないにも関わらず、障害のあることを理由に、来庁の際に付き添い人の同行を求めるなどの条件を付ける。 2 「合理的配慮」の具体例   以下の事例は、あくまでも例示で、これらに限定されたものではありません。   (1) 物理的環境への配慮 ○段差にスロープを渡す。 ○手の届かないところに設置された申込書類を取って渡す。 ○障害により文字の記入が難しい人の求めに応じて、代筆をする。また、片手でも書類への記入ができるよう、滑りにくいマットや文鎮を使っていただく。 (注)視覚障害者のため代筆した場合、代筆内容は本人に見えないので、その読み上げを行うか本人に確認する。 (2) 意思疎通への配慮 ○会話するときは、平易な表現を用い、相手にとって聞き取りやすい声の大きさ、話す速度で、丁寧に話す。理解が難しいと感じられたときは、短い具体的な文章で「ゆっくり」「丁寧に」「繰り返し」説明する。なお、耳で聞いただけではわかりにくい場合は、文章や図で示しわかりやすく伝える方法もある。また、不安感を生じさせないよう、穏やかな対応を心がける。 ○聴覚障害者と会話するときは、本人の希望を確認して、口の動きがはっきり分かるように配慮したり、筆談、手話を用いるなど、柔軟な対応を行う。 ○思うように口などを動かしにくく、お話が聞き取りにくい人と会話をするときは、わかったふりをせず、一語一語確認するようにする。 ○障害により周囲の状況を認識する力が妨げられたことから生じる不安から来庁目的をつかみかねる話を繰り返される場合、その話に耳を傾けて気持ちが落ち着かれたときを見計らって、用件を聞く。用件に入ることが難しいときは「用件がわかったらまた来てください」と穏やかに伝え、「拒否された」という感情が残らないようにする。 ○視覚障害者に文書を送付する際は、本人の希望を確認して、拡大文字、点字、電子メールの活用など、柔軟な対応を行う。 ○講演会や会議の時に、手話通訳者や要約筆記をつける、スライド使用時に言葉での説明もつけるなど、目と耳と双方から情報を得られるよう、配慮する。 (3) ルール・慣行の柔軟な変更 ○外出が困難な人に対して、郵送での手続を認める。 ○障害の特性に応じた休憩時間の調整を行う。 ○プライバシーに配慮した対応が必要な場合には、面談室等を利用する。 ※本人から申し出があった場合はもちろん、精神障害や内部障害等、外見からはわからない障害がある人の中には、障害があることを人に知られたくないと思っている人もいます。 ○パニックになった人を、一人になって落ち着くことができる場所に案内する。 ○複数課をまたぐ手続が必要な場合、必要であれば次の課まで誘導する。 第4章 相談体制の整備(法第14条) 障害者差別の解消を効果的に推進するには、障害者及びその家族その他の関係者からの相談等に的確に応じることが必要であり、とりわけ障害者本人からの相談に対応する際には、障害の特性や状況等に配慮することが重要です。 障害者差別に限定した新たな相談機関は設置せず、案件の内容に応じた既存の相談窓口を明確にするとともに、相談などに対応する職員の業務の明確化などを図ることにより、障害者差別の解消の推進に資する体制を整備します。 各既存相談窓口に障害者差別に係る相談が入ったときの対応は、以下のとおりとします。相談対応が終わり次第、その概要を様式1及び2(テキスト版では省略)にて障害福祉課に提出してください。また、各職場での対応について合理的配慮を求められたときの対応についても、その概要を様式1及び2にて障害福祉課に提出してください。今後の対応に活かすため、相談状況を集約します。 @ 場面 障害者が既存相談窓口で、そこの所管内容に合う相談をしたとき 例 解雇されたことは障害者差別による不当解雇だとの相談を、勤労者相談窓口で受けた。 対応 既存窓口で従来どおり対応する。 A 場面 障害者が既存相談窓口で、別の相談窓口が所管する内容の相談をしたとき 例 解雇されたことは障害者差別による不当解雇だとの相談を、障害者基幹相談支援センターで受けた。 対応 その相談内容を所管する相談窓口を案内する。 B 場面 差別としての対応より、虐待としての対応が妥当と思われる相談があったとき 対応 豊中市障害者虐待防止センターが対応する。 (注)在宅の障害児に対する家族からの虐待は、こども相談課 C 場面 豊中市の特定部署の対応が障害者を差別しているとの相談を受けたとき 対応 当該部署が、相談者への対応を行う。 D 場面 市出資法人等の対応が障害者を差別しているとの相談を受けたとき 対応 当該市出資法人等との連絡調整を担当する課が、当該市出資法人等に、相談者への対応と結果報告を求める。 E 場面 福祉サービス事業所の対応が障害者を差別しているとの相談を受けたとき 対応 苦情調整委員会(地域福祉課)が、対応する。 F 場面 福祉サービス以外の民間事業者の対応が障害者を差別しているとの相談を受けたとき 対応 民間事業者との連絡調整の主となる課(なければ障害福祉課企画係)が、当該事業所に、相談者への対応と結果報告を求める。 G 場面 個人・地域組織の対応が障害者を差別しているとの相談を受けたとき 対応 〇個人の場合、相談を受けた既存相談窓口が対応する。 ○地域組織の場合、地域組織との連絡調整を行う課か相談を受けた既存相談窓口が対応する。 相談が入りうるところ:人権相談、障害福祉課、障害者基幹相談支援センター 第5章 職員等への研修 1 本市における職員に対する研修   本市においては、職員一人ひとりが障害者に対して適切に対応し、また、障害者及びその家族その他の関係者からの相談等に的確に対応するため、法の趣旨の周知徹底、障害者から話を聞く機会を設けるなどの研修等を実施することにより、職員の障害に関する理解の促進を図るものとします。 2 受託事業者等における研修   市民と接する機会のある業務を行う受託事業者等との契約または協定においては、当該受託事業者等に対し、障害者に対して適切に対応するため、人権研修の実施及びその実施結果の報告を求めることで、法の趣旨の普及を図るとともに、受託事業者等による障害に関する理解の促進に努めるものとします。 附 則 この要領は、平成28年4月1日から実施する。 (様式省略) 資料(障害種別の特性):視覚障害のある人 障害者施策推進本部発行『公共サービス窓口における配慮マニュアル』(平成17年(2005年))より抜粋 視覚障害のある方の中には、全く見えない方と見えづらい方とがいます。見えづらい方の中には、細部がよく分からない、光がまぶしい、暗いところで見えにくい、見える範囲が狭い(視野の一部が欠けたり、望遠鏡でのぞいているような見え方)などの方がいます。また、特定の色がわかりにくい方もいます。 主な特徴 ・一人で移動することが困難 慣れていない場所では一人で移動することは困難です。 ・音声を中心に情報を得ている 目からの情報が得にくいため、音声や手で触ることなどにより情報を入手しています。 ・文字の読み書きが困難 文書を読むことや書類に文字を記入することが難しい方が多いです。 資料(障害種別の特性):聴覚・言語障害のある人 障害者施策推進本部発行『公共サービス窓口における配慮マニュアル』(平成17年(2005年))より抜粋 聴覚障害のある方の中には、全く聞こえない方と聞こえにくい方とがいます。さらに、言語障害を伴う方とほとんど伴わない方とがいます。また、言語障害のある方は、その原因によって、聴覚障害を伴う場合があります。 主な特徴 ・外見から分かりにくい 外見からは聞こえないことが分かりにくいため、挨拶したのに返事をしないなどと誤解されることがあります。 ・視覚を中心に情報を得ている 音や声による情報が得にくく、文字や図などの視覚により情報を入手しています。 ・声に出して話せても聞こえているとは限らない 聴覚障害のある方の中には声に出して話せる方もいますが、相手の話は聞こえていない場合があります。 ・補聴器をつけても会話が通ずるとは限らない 補聴器をつけている方もいますが、補聴器で音を大きくしても、明りょうに聞こえているとは限らず、相手の口の形を読み取るなど、視覚による情報で話の内容を補っている方も多いです。 資料(障害種別の特性):肢体不自由のある人 障害者施策推進本部発行『公共サービス窓口における配慮マニュアル』(平成17年(2005年))より抜粋 肢体不自由のある方の中には、上肢や下肢に切断や機能障害のある方、座ったり立ったりする姿勢保持が困難な方、脳性マヒの方などがいます。これらの方の中には、書類の記入などの細かい作業が困難な方、立ったり歩行したりすることが困難な方、身体にマヒがある方、自分の意思と関係なく体が動く不随意運動を伴う方などがいます。移動については、杖や松葉杖を使用される方、義足を使用される方、自力走行や電動の車いすを使用される方などがいます。また、病気や事故で脳が損傷を受けた方の中には、身体のマヒや機能障害に加えて、言葉の不自由さや記憶力の低下、感情の不安定さなどを伴う方もいます。 主な特徴 ・移動に制約のある方もいる 下肢に障害のある方では、段差や階段、手動ドアなどがあると、一人では進めない方がいます。歩行が不安定で転倒しやすい方もいます。 車いすを使用されている方では、高い所には、手が届きにくく、床のモノは拾いにくいです。 ・文字の記入が困難な方もいる 手にマヒのある方や脳性マヒで不随意運動を伴う方などでは、文字を記入できなかったり、狭いスペースに記入することが困難です。 ・体温調節が困難な方もいる 脊髄を損傷された方では、手足が動かないだけでなく、感覚もなくなり、周囲の温度に応じた体温調節が困難です。 ・話すことが困難な方もいる 脳性マヒの方の中には、発語の障害に加え、顔や手足などが自分の思いとは関係なく動いてしまうため、自分の意思を伝えにくい方もいます。 資料(障害種別の特性):内部障害のある人 障害者施策推進本部発行『公共サービス窓口における配慮マニュアル』(平成17年(2005年))に加筆 内部障害とは、内臓機能の障害であり、身体障害者福祉法では心臓機能、呼吸器機能、じん臓機能、ぼうこう・直腸機能、小腸機能、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能、肝臓機能障害の7種類の機能障害が定められています。 障害者差別解消法の対象となる「障害者」は、心身の機能の障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある人です。いわゆる障害者手帳を所持していることは要件となっていませんので、身体障害者福祉法の対象となるほど内蔵機能の障害が悪化していなくても、日常生活の上で合理的配慮が必要な場合があることに留意する必要があります。   心臓機能障害は、不整脈、狭心症、心筋症等のために心臓機能が低下した障害で、ペースメーカー等を使用している方もいます。 呼吸器機能障害は、呼吸器系の病気により呼吸機能が低下した障害で、酸素ボンベを携帯したり、人工呼吸器(ベンチレーター)を使用している方もいます。 腎臓機能障害は、腎機能が低下した障害で、定期的な人工透析に通院されている方もいます。 ぼうこう・直腸機能障害は、ぼうこう疾患や腸管の通過障害で、腹壁に新たな排泄口(ストマ)を造設している方もいます。 小腸機能障害は、小腸の機能が損なわれた障害で、食事を通じた栄養維持が困難なため、定期的に静脈から輸液の補給を受けている方もいます。 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能障害は、HIVによって免疫機能が低下した障害で、抗ウイルス剤を服薬している方です。 肝臓機能障害は肝臓の機能の障害で、肝臓移植を受け抗免疫療法を実施している人、肝性脳症※5や腹水※6がある等、重篤な状況にある人もいます。 ※5→肝機能障害により、本来肝臓で除去されるはずの毒物が血液中にたまって脳に到達し、脳の機能が低下する病気。 ※6→体液を調節するいろいろなホルモンや化学物質の変調など複数の要因が組み合わさって、タンパク質を含む体液が肝臓や腸の表面から漏れ出て腹腔内に蓄積した状態。 主な特徴 ・外見からわかりにくい 外見からは分からないため、電車やバスの優先席に座っても周囲の理解が得られないなど、心理的なストレスを受けやすい状況にあります。 ・疲れやすい 障害のある臓器だけでなく全身状態が低下しているため、体力がなく、疲れやすい状況にあり、重い荷物を持ったり、長時間立っているなどの身体的負担を伴う行動が制限されます。 ・携帯電話の影響が懸念される方もいる 心臓機能障害で心臓ペースメーカーを埋め込んでいる方では、携帯電話から発せられる電磁波等の影響を受けると誤作動するおそれがあるので、配慮が必要です。 ・タバコの煙が苦しい方もいる 呼吸器機能障害のある方では、タバコの煙などが苦しい方もいます。 ・トイレに不自由されている方もいる ぼうこう・直腸機能障害で人工肛門や、人工ぼうこうを使用されている方(オストメイト)は、排泄物を処理できるオストメイト用のトイレが必要です。 資料(障害種別の特性):知的障害のある人 障害者施策推進本部発行『公共サービス窓口における配慮マニュアル』(平成17年(2005年))より抜粋 知的障害のある方は、発達時期において脳に何らかの障害が生じたため、知的な遅れと社会生活への適応のしにくさのある方です。重度の障害のため常に同伴者と行動される方もいますが、障害が軽度の場合には会社で働いている方も大勢います。 主な特徴 ・複雑な話や抽象的な概念は理解しにくい ・人にたずねたり、自分の意見を言うのが苦手な方もいる ・漢字の読み書きや計算が苦手な方もいる 資料(障害種別の特性):発達障害のある人 豊中市発行『発達障害の理解のために』(平成26年(2014年))より抜粋 発達障害とは、何らかの要因で中枢神経機能が独特の働きをすることにより、対人関係や行動のコントロール、学業などに支障が生じる状態のことをいいます。 ここでは、発達障害の一例を示していますが、子どもから大人まで年齢も様々で、得意・苦手もそれぞれの人によって異なります。 自閉症 乳幼児期に言葉の発達が遅れ、他人とのコミュニケーションが不得意です。また、特定の物や場所に強いこだわりを示したり、行動のパターン化など、3歳までには何らかの症状が現れます。 特長 慣れた場所の方が安心して活動できることが多いです。また、事前に予定が分かっていた方がスムーズに行動できることが多いです。 アスペルガー症候群 自閉症と同様の症状が見られますが、知的発達や言葉の発達の遅れはありません。他人の気持ちを理解することが苦手であるため、自分の興味のあることばかりを話すなど、友達との会話が噛み合わないことがよくあります。 特長 記憶力が高い場合があり、気に入ったことや興味があることに関しては多くの知識を持っていることがあります。 注意欠陥多動性障害(AD/HD) 「集中できない」「落ち着きがなくじっとしていられない」「考えるよりも先に動く」「忘れ物をよくする」などを特長とします。こうした特長のいくつかは幼児期から現れはじめます。 特長 困っている人がいれば早く気づき、気配りができることがあります。 学習障害(LD) 全体的な知的発達に遅れはないにも関わらず、聞く、話す、読む、書く,計算するなどのうち特定の学習や活動において、困難さを示す様々な状態のことをいいます。 特長 その人に合った工夫を見つけることができれば、困難なくこなせることがあります。 資料(障害種別の特性):精神障害のある人 障害者施策推進本部発行『公共サービス窓口における配慮マニュアル』(平成17年(2005年))に加筆 精神障害のある方は、統合失調症、うつ病、双極性障害(躁うつ病)、てんかん、アルコール依存症、認知症等のさまざまな精神疾患により、日常生活や社会生活のしづらさを抱えている方です。適切な治療・服薬と周囲の配慮があれば症状をコントロールできるため、大半の方は地域で安定した生活を送られています。 統合失調症は、幻覚・思考障害、感情や意欲の障害など、多様な精神症状を特徴とし、現実を認識する能力が妨げられ、正しい判断ができにくく、対人関係が難しくなるなど、さまざまな生活障害を引き起こします。おおよそ100人に1人がかかる大変身近なものといわれています。 うつ病は、気分がひどく落ち込んだり、何事にも興味を持てなくなったりして、日常生活に支障が現れます。国内の調査によると、うつ病を経験している人は約15人に1人とされています。双極性障害(躁うつ病)は、うつ状態では死にたくなるなど、症状によって生命の危機をもたらす一方、うつと正反対の躁状態を放置すると、人間関係、社会的信用、仕事や家庭などが損なわれる重篤な疾患です。 てんかんは、通常は規則正しいリズムで活動している大脳の神経細胞(ニューロン)の活動が突然崩れて、激しい電気的な乱れが生じることによって発作が現れる病気です。 アルコール依存症は、長年にわたって大量のお酒を飲み続けるうち、適正な飲酒が自分でコントロールできなくなり、身体をこわしたり、職場や家庭でのトラブルが引き金となって人間関係をこわすことがある病気です。 認知症は、いったん獲得された認知機能(記憶、言語、学習、判断力等)が持続的に低下し、さっきのことが思い出せない、今までできたことができない、暴言・暴力、徘徊、妄想等が生じる等により生活に支障を生じた状態をいいます。 主な特徴 ・ストレスに弱く、疲れやすく、対人関係やコミュニケーションが苦手な方が多い ・外見からは分かりにくく、障害について理解されずに孤立している方もいる ・精神障害に対する社会の無理解から、病気のことを他人に知られたくないと思っている方も多い ・周囲の言動を被害的に受け止め、恐怖感をもってしまう方もいる ・学生時代の発病や長期入院のために、社会生活に慣れていない方もいる ・気が動転して声の大きさの調整が適切にできない場合もある ・認知面の障害のために、何度も同じ質問を繰り返したり、つじつまの合わないことを一方的に話す方もいる 資料(障害種別の特性):難病患者 大阪ふれあいキャンペーン実行委員会パンフレット(平成25年度(2013年度))に加筆 「難病」は、医学的に明確に定義された病気の名称ではありません。一般的には、原因や治療法が解明されていない疾病と言われますが、国の「難病対策要綱」においては、以下のように定義されています。 (1)原因不明、治療方針未確定であり、かつ、後遺症を残す恐れが少なくない疾病 (2)経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家族の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病  難病のある人は、長期間の療養を必要とし、病名や病態が知られていないために周囲の人に理解されにくく、就業など、社会生活への参加が進みにくいと言われています。 難病のある人の状態像 「難病のある人」と一口に言っても、疾患数は多く、また個人個人によりさまざまです。 疾患により外見・容貌が変化していたり、視覚障がいや肢体不自由などによる行動上の変化があるなどして(障がい者手帳を取得している場合もあります)、病気のあることが他者から見て分かりやすい人もいれば、外見上にはあまり変化がなく他者から病気があることが分かりにくく、「本当に病気を持っているのだろうか」と接する人が印象を抱く場合もあります。 [引用文献:厚生労働省委託事業「難病の雇用管理のための調査・研究会」編(平成19年3月)難病を理解するために〜事業主のためのQ&A] 難病のある人の中には、疲れやすい人が多く見られます。また、なかには午前中は体調がよくても夕方になると不調となるなど一日のうちで体調の変動があったり、体調を崩しやすい場合もあります。 資料(関連条文) 障害者の権利に関する条約(抜粋) 第2条 「障害に基づく差別」とは、障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のあらゆる分野において、他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を認識し、享有し、又は行使することを害し、又は妨げる目的又は効果を有するものをいう。障害に基づく差別には、あらゆる形態の差別(合理的配慮の否定を含む。)を含む。 「合理的配慮」とは、障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。 第4条 契約締結国は、障害者に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し、又は廃止するための全ての適当な措置(立法を含む。)をとること。 資料(関連条文) 障害者基本法(昭和45年法律第84号)(抜粋) (定義) 第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 一  障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 二  社会的障壁 障害がある者にとつて日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。 (差別の禁止) 第4条 何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。 2 社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによつて前項の規定に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない。 3 国は、第一項の規定に違反する行為の防止に関する啓発及び知識の普及を図るため、当該行為の防止を図るために必要となる情報の収集、整理及び提供を行うものとする。 資料(関連条文) 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)(抜粋) (目的) 第1条 この法律は、障害者基本法の基本的な理念にのっとり、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳に ふさわしい生活を保障される権利を有することをふまえ、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項、行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置等を定めることにより、障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。 (国及び地方公共団体の責務) 第3条 国及び地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、障害を理由とする差別の解消の推進に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施しなければならない。 (国民の責務) 第4条 国民は、第一条に規定する社会を実現する上で障害を理由とする差別の解消が重要であることに鑑み、障害を理由とする差別の解消の推進に寄与するよう努めなければならない。 (社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮に関する環境の整備) 第5条 行政機関等及び事業者は、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない。 (行政機関等における障害を理由とする差別の禁止) 第7条 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱をすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 2 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。 (地方公共団体等職員対応要領) 第10条 地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、基本方針に即して、第7条に規定する事項に関し、当該地方公共団体の機関及び地方独立行政法人の職員が適切に対応するために必要な要領(以下この条及び附則第四条において「地方公共団体等職員対応要領」という。)を定めるよう努めるものとする。 2 地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、地方公共団体等職員対応要領を定めようとするときは、あらかじめ、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。 3 地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、地方公共団体等職員対応要領を定めたときは、遅滞なく、これを公表するよう努めなければならない。 4 国は、地方公共団体の機関及び地方独立行政法人による地方公共団体等職員対応要領の作成に協力しなければならない。 5 前三項の規定は、地方公共団体等職員対応要領の変更について準用する。 (事業主による措置に関する特例) 第13条 行政機関等及び事業者が事業主としての立場で労働者に対して行う障害を理由とする差別を解消するための措置については、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)の定めるところによる。 (相談及び紛争の防止等のための体制の整備) 第14条 国及び地方公共団体は、障害者及びその家族その他の関係者からの障害を理由とする差別に関する相談に的確に応ずるとともに、障害を理由とする差別に関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう必要な体制の整備を図るものとする。 (啓発活動) 第15条 国及び地方公共団体は、障害を理由とする差別の解消について国民の関心と理解を深めるとともに、特に、障害を理由とする差別の解消を妨げている諸要因の解消を図るため、必要な啓発活動を行うものとする。    附 則 (地方公共団体等職員対応要領に関する経過措置) 第4条 地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、この法律の施行前においても、第 10条の規定の例により、地方公共団体等職員対応要領を定め、これを公表することができる。 2 前項の規定により定められた地方公共団体等職員対応要領は、この法律の施行の日において第10条の規定により定められたものとみなす。 (検討) 第7条 政府は、この法律の施行後3年を経過した場合において、第8条第2項に規定する社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮の在り方その他この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に応じて所要の見直しを行うものとする。