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第四回 市長が聴く「公益財団法人日本センチュリー交響楽団首席指揮者 飯森範親さんに聴く」

ページ番号:801833029

更新日:2020年10月29日

実施日

令和2年(2020年)10月22日(木曜)

概要

 豊中市に本拠地を置く公益財団法人日本センチュリー交響楽団(以下、センチュリー)は、市内各地の会場でクラシック音楽を演奏する「豊中まちなかクラシック」での演奏会など、市民にとって最も身近なオーケストラです。またセンチュリーは、コロナ禍においても、全国でいち早く無観客の演奏会を動画配信するなど、常に新しいことに挑戦し続けておられます。
 今回は、「Withコロナ、Afterコロナ時代に音楽で伝えたいこと」をテーマにセンチュリーの飯森範親首席指揮者にお越しいただき、音楽あふれるまち・とよなかのさらなる発展について対談を行いました。

対談要旨

全国に先駆けた取り組み

長内市長(以下、市長)
 新型コロナによって、3月には学校が臨時休業を要請され、また様々な活動が制約される事態となりました。日本中に閉塞感が漂い、先行きが見通せない中で、センチュリーが無観客で配信された演奏会は、クラシック界だけでなく社会全体に対しても、勇気と力を与える取り組みであったと思います。一番大変な時でも、音楽活動を続けてこられたことに尊敬と感謝の念を抱いております。
 当時は、音楽だけでなく、様々な分野で中止や延期が相次ぐ中、全国に先駆けてイベントを実行されましたが、振り返ってみていかがですか。

飯森首席指揮者(以下、指揮者) 
 私個人も、3月21日に東京で観客が入った演奏会をさせていただきました。多くの大型イベントが中止される中でのコンサートでしたので、注目度はとても高かったです。コロナ禍ということで、かなり多くの批判もいただきました。その一方で、音楽を渇望している方々がこんなに大勢いるのだということを実感しました。
 そして、センチュリーとしては、3月28日に無観客の動画配信を行いました。無観客での演奏会の配信という新たな試みは、全国的にとても早かったです。音響も映像も日本でトップクラスの方々が対応してくれました。初めての試みだからこそ、私たちはクオリティにこだわりました。お客様に、こういう聴き方、見方も選択肢としてあり得るということを伝えたかったのです。新型コロナの自粛がいつまで続くのか先が見えない時期に、沢山の好意的な声を頂けました。
 同じ厳しい環境にある全国のオーケストラの皆さんに対しても少しの希望を私たちの取り組みから感じ取って頂けたのではないかなと思いました。クオリティが高い配信を行うことができたのは本当に意義深い取り組みだったと思います。

市長
 コロナ禍において、イベントなどを実施すると必ず批判が湧いてきます。このような状況においては、当然ながらリスクはあります。その中で誰が覚悟を持って責任を取るかです。そう言った機会を継続させ、また復活させるには覚悟が必要ですね。
 中止するのは簡単です。続けることには、どれだけの力と知恵と熱意がいるか。逆境を力にしていく。全国に先駆けてそのような取り組みをされたことは本当に素晴らしいことだと思います。やはり、指揮者は音楽を渇望する声に応えたかったのですね。

指揮者
 そうですね。自粛期間中も、S N Sを通じて、様々なコメントをいただきました。コメントの内容からも、皆さんの音楽への渇望は大きくなっていると感じました。
 何としてでも続けて欲しいと言う強い声を頂戴することが本当に多かったです。音楽家として活動している者にとっては、本当に大きな励みになりますし、やり続けなければいけないなと強く感じました。
 休業要請が解除された後も、いち早く観客を入れての演奏会を開催したのもセンチュリーでした。「ブラボー」の掛け声が控えられる中、オーケストラが舞台上からはけた後も鳴り止まない拍手を聞いて、観客が音楽を待ち望まれていたということを実感しました。
 ネガティブに考えて、中止するのは簡単なのです。しかし、諦めてしまうと日本の文化芸術だけじゃなくて、全てのことが何もできなくなってしまうことに陥ります。だから我々としては、どうやったらやれるのかと知恵を振り絞り、何としてでも開催する覚悟と熱意で挑んできました。

市長
 やめることに知恵は必要ありません。続けるために知恵を働かすことが必要だと思います。続けることを諦めず挑戦することに対して、豊中市も支援していきたいと考えています。
 例えば市では、文化芸術活動支援助成金を創設して、コロナ禍において文化芸術の営みを続けようとしてくれる人を応援しています。
 文化芸術は、人類が築き上げてきた財産です。その財産が損なわれるような状況に対して、先を見据えて支援していくのが我々の使命だと思っています。

新たな挑戦

指揮者
 我々も、このように大変な時ほどチャンスであると捉え直し、色々なことに挑戦しています。こういう時だからこそ新しい発想を生み出し、そしてそれを形にできるように行動を起こしていく。ただ待っているだけではいけません。
 新型コロナ前の世界には戻らないですから、戻らないことを前提に新しいことをやっていかないと生き残れないです。

市長
 新しい取り組みといえば、センチュリーと日本酒の「獺祭(だっさい)」がコラボするそうですね。

指揮者
 そうなんです。オンキヨー株式会社が全面的に協力して、「加振器」と言うものを製作してくださいました。発酵中のもろみのタンクに取り付けて音楽を振動として聴かせるというものです。交響曲「獺祭」の2楽章「発酵」、4楽章「熟成」という2曲の楽曲を聴かせて獺祭を醸造してみようと言う試みです。作曲はアニメ犬夜叉の主題歌でお馴染みの和田薫さんが行いました。そして、私の指揮のもとセンチュリーが演奏したものを録音しました。
 
市長
 面白い取り組みですね。色々なジャンルで楽しみ方の広がりが出てきますね。

指揮者
 私どもは、交響曲「獺祭」を初めとして、少し突拍子もないことでも挑戦して、形にしてしまおうという柔軟性を持っているオーケストラだと思っています。
 また、「獺祭」の旭酒造株式会社の会長も、非常に柔軟で可能性があれば行動してみようというタイプの方です。違う分野同士がコラボレーションすることで、新たな可能性が広がるのではないでしょうか。

市長
 来年2月には豊中市立文化芸術センター(以下、文芸センター)で交響曲「獺祭」が披露されるそうですね。生の音で臨場感と高揚感を味わうだけでなく、お酒も味わえるとは贅沢ですね。

指揮者
 ぜひ、豊中市とも新しい取り組みを一緒にしたいと思っています。例えば、我々が文芸センターで開催するコンサートにおいて、私の指揮や、演奏者の手元付近までズームした映像を会場のスクリーンに映し出す。その映像を会場の観客が観ながら演奏を聴くことができる演出をするのです。
 また、会場と同じ映像を動画配信することも可能です。それらをアーカイブ化して、豊中市民が好きな時に観ることができるようなシステムも考えられますね。豊中市独自のプライオリティで住んでいる人達の特典にする訳です。それはクラシックだけでなくて、他のアーティストとコラボしても良いと思います。いくつかのコンテンツができれば面白いと思うんですけどね。

市長
 実現すると全国的に見ても珍しい取り組みになりそうですね。

指揮者
 そうです。そう言ったことが豊中の売りにできたら、全国的にも注目されることになるのではないかなと思います。
 コロナ禍だからこそ、今までになかった新たな発想がたくさん出てきます。それを形にするのも我々の手腕かと思います。
市長
 人類がパンデミックに脅かされるたび、その後の世界が大きく変わってきた歴史があります。ライフスタイルや価値観の変化にも柔軟に対応する必要がありますね。

指揮者
 どんなジャンルも、新しい世界を切り開いていかなければいけないと思います。例えば、教育現場でも、毎日学校に行って先生と対面して授業を受けることが、もしかしたらまた、できなくなる時期がくるかも知れないし、学び方も状況に応じて変えていく必要があるのではないでしょうか。

子どもたちに音楽体験を

市長
 今回、新型コロナで一番影響を受けたのは子どもたちですね。全国的に休校になり、何の準備もなく学校に行けなくなってしまいました。この時に得た教訓は大きいですね。
 それで豊中市でもタブレットを全ての小中学生に配布することで、新型コロナが猛威を振るっても自宅でオンライン学習ができる環境を作っています。ただオンラインだけに頼るのではなく、やはり対面で教師が声をかけるっていうことも必要ですが、タブレットによって様々な学習機会や学びの手段を確保できることは大きいと思います。

指揮者
 不登校と言うことで登校せずに卒業するようなこともありますが、オンラインでも繋がりは持ちながら、新たな学び方や関わり方でチャレンジする気持ちを持ってもらえるようになれば良いですね。学習の機会や手段が増えることはすごく良いと思います。
 また、学習面だけでなく、新型コロナによって、吹奏楽や合唱などのコンクールが中止となり、開催する場合でも無観客で審査員しかいないような所で行うような状況です。子どもたちの学校生活で追いかける夢や目標が無くなってしまいました。
 本当に心配ですね。子どもたちに対しては、何かきっかけを作ってあげたいと思うし、やはり音楽で何かしたいなと思っています。

市長
 市内の中学生がセンチュリーのオーケストラ演奏を体験できる「ホールでオーケストラ」に、私も毎年参加させていただいています。このような体験ができるのは、豊中にホールがあって、しかも身近なオーケストラとしてセンチュリーがいてくれるからこそだと思います。

指揮者
 我々のオーケストラはコンパクトですけど、綺麗だし、パワーがあるし、あれだけのサウンドを出せるっていうのは日本でもそうはないと自負しています。豊中市の子どもたちに大人になってからでも「あの時のオーケストラってやっぱ良かったなあ。」とかそう言った思いを持ち続けてもらえると嬉しいです。
 豊中市では私どもセンチュリーが存在している訳ですから、強みの一つとしてあり続けたいと思います。

市長
 まさに我がまちのセンチュリーです。体験が興味につながるような場合もあるし、子どもたちのチャンスを増やすことにもなると思います。

音楽あふれるまち・とよなかのさらなる発展に向けて

市長
 最後に、指揮者から音楽あふれるまち・とよなかのさらなる発展に向けて、アドバイスがあれば教えていただければと思います。

指揮者
 日本のクラシック界は今までの伝統とか習慣を守りすぎてしまい、現状から脱することが難しくなっていると思います。
 例えば私は過去に豊中市名誉市民になられた松本孝弘さんのギターとオーケストラで共演させていただいたことがありますが、他のジャンルとの組み合わせが新しい価値を生むことがあります。
 オーケストラと演劇や歌舞伎などが一緒に公演をしても良いですし、もしくはオーケストラがなくてもできることもあると思います。とにかく様々なジャンルの方々が一緒になってこの豊中市を盛り上げているというような機運を醸成することが必要だと思います。そういう独創的なコラボレーションが出てくると、他の自治体にはないものとして見ていただけるのではないかなと思います。
 もう少し視野をグローバルに広げても良いと思いますし、それからジャンルも広くても良いと思います。それを上手いことコーディネートする必要があります。コーディネーターが必要です。豊中市内にも色々なジャンルの優秀な団体がたくさんあります。豊中市がリーダーシップをとって、そういった方々と一体となって「面白さ」を創り上げれば、市内外の人の興味を引く魅せ方ができるような気がします。

市長
 素晴らしいご提案をありがとうございます。現状で安住することなく、音楽あふれるまち・とよなかのグレード感をさらに上げていくことが必要だと考えています。様々なジャンルの方々と協働して、輝きを増すような取り組みをこれからもしていきたいと思います。

指揮者
 今も既に輝いていますが、さらに輝いていただけるよう、我々もできる限り協力させていただきます。

市長
 これからも音楽あふれるまち・とよなかを一緒に盛り立てていただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

お問合せ

都市経営部 秘書課
〒561-8501 豊中市中桜塚3丁目1番1号 豊中市役所第一庁舎3階
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