No.58「形成外科~キズを治すプロフェッショナル~」[令和5年(2023年)9月発行]
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更新日:2023年9月29日
「形成外科」の診療内容や特徴
市立豊中病院は、令和5年(2023年)4月に形成外科を開設しました。
形成外科は、主に体の表面にある病気の治療を行います。患者さまが社会復帰するのを助けたり、患者さまの生活の質の向上をめざして、他診療科と連携しチーム治療を実施します。
今回は、「形成外科」の診療内容や特徴について紹介します。
1.「形成外科」を開設しました
形成外科とは、体の表面に生じた組織の異常や変形、欠損に対して治療を行う診療科です。全身のあらゆるキズに対して治療を行います。また、キズあとを目立ちにくくするため、手術や貼り薬などを使った治療を行ったり、まぶたの下がりや逆まつげの手術、幼児を含めたできものの切除術や生まれつきの奇形などに対しての手術も行っています。
形成外科で扱う疾患
けが・キズあと
やけど、キズあと、とこずれ、顔の骨の骨折(眼窩底骨折、頬骨骨折)など
腫瘍
乳房再建、粉瘤、脂肪腫など
生まれつきの病気
耳や口の変形など
その他
眼瞼下垂、顔面神経麻痺、リンパ浮腫など
2.形成外科で行う治療
乳房再建術
乳房再建には、乳がんの手術と同時に行う「1次再建」と、乳がんの手術後に一定期間をおいてから行う「2次再建」があります。また再建方法として、自分の体の組織(自家組織)を移植する方法とシリコン製の人工乳房(インプラント)を使用する方法があります。
乳がんの手術も人によって様々ですので、患者さまのニーズとともに治療方法を提示していきます。
乳腺外科の先生より
以前は大学病院と連携して乳房再建を行っていたので、患者さまにご不便をおかけしておりましたが、今後は当院での再建も可能になり、患者さまへの負担低減につながっています。
リンパ浮腫に対する手術
リンパ節を併せて切除するがん手術の場合、リンパ液の輸送機能が低下して、手足がむくんでしまうことがあります。これをリンパ浮腫といいます。
リンパ浮腫の治療としてストッキングやスリーブの着用による圧迫療法が基本ですが、これに加えて顕微鏡を用いて、リンパ管を近辺の血管(静脈)にバイパス手術をすることで、だるさなどの症状の改善が期待できます。
当院では、リンパ浮腫外来を設置していますので、連携して治療方針を決定していきます。
頭頸部再建術
頭頸部がんとは、のどや口などに生じるがんのことであり、がんの切除に伴う欠損の部位や大きさによっては、体の他の部位から組織を採取して、移植する必要があります。その際には、手術用の顕微鏡を使用して数mmの血管どうしの吻合※を行います。なお、再建方法については、主診療科の治療方針に沿って、検討していきます。
※吻合:血管や神経をつなぐこと
歯科・歯科口腔外科の先生より
近年増加している口腔がんの治療は手術をメインで行います。形成外科との合同手術で、当院でも再建を要する方への治療が可能になりました。
形成外科医よりメッセージ
- 4月に形成外科を開設して数ヶ月が経ちました。近隣のクリニックからのご紹介もあり、受診される患者さまが増えてきています。他院の形成外科に受診せざるを得なかった状況を変えるべく、当院で通院、治療ができるように、患者さまをサポートします!
- 大小さまざまなキズやその他の疾患など、患者さまからの相談に対して、誠意をもって対応し、最善の治療を行います!
3. 形成外科の先生に聞いてみよう!
「キズを治すお医者さん」のイメージがありますが、どのようにキズをきれいに治すのですか?
(回答)キズの状態によって、さまざまな治療方法を使い分けて治療します。塗り薬で治す方法(外用療法)、創傷被覆材を貼付して治す方法、手術療法、陰圧をかけて治す方法(陰圧閉鎖療法)などです。専門医が判断して適切な治療を行います。
日常でケガしたときに、傷口をなるべく早くきれいに治すポイントは、ありますか?
(回答)以前は、キズができた時、消毒を必ずしていましたが、最近では消毒がキズの治癒を妨げることやきれいな水道水で洗うだけで感染がコントロールできることがわかり、消毒することが減ってきました。石鹸を使用してキズを洗うことが早くきれいに治す第一歩です。
形成外科よりお知らせ
- 当院では、保険診療での治療を中心に診療を行っております。美容目的の診療(二重まぶた作成、フェイスリフト(シワ取り)、シミ取り、豊胸術、など)は行っておりません。
- 紹介状を持たずに受診される場合は、初診・再診料とは別に、選定療養費をご負担いただく場合があります。
就任あいさつ
病院長 岩橋 博見
令和5年4月1日付で、病院長を拝命いたしました。
平成2年大阪大学を卒業。平成5年から四半世紀にわたり、大学で診療、教育、研究に従事してまいりました。当院に内科主任部長として赴任したのは、ほんの4年前ですが、赴任後1年足らずで新型コロナウイルス感染症のパンデミックに遭遇し、以来、感染症の診療体制整備に明け暮れました。今後も様々な課題がありますが、地域の中核病院として「心温かな信頼される医療」を提供できるよう、努力してまいります。皆様の温かいご支援・ご協力を、何卒よろしくお願いいたします。
<略歴>
- 平成17年 大阪大学 内分泌・代謝内科 助手
- 平成27年 大阪大学 糖尿病病態医療学寄附講座 准教授
- 平成31年 市立豊中病院 中央診療局長
- 令和 2年 市立豊中病院 副院長
病院事業管理者 直川 俊彦
令和5年4月1日付で、病院事業管理者を拝命いたしました。
患者さま・患者家族の皆さまに信頼していただける、心温かな医療の提供という理念を基本に、「市立豊中病院運営計画」にもとづく取組みを進めて、皆さまと当院にとってのコロナ後の未来に向かっていきたいと思います。
<略歴>
- 平成22年 豊中市行財政再建対策室長
- 平成26年 豊中市健康福祉部長
- 平成30年 豊中市財務部長
市立豊中病院運営計画の取組みを開始しています
令和5年度から5年間の病院運営の方向性や目標を定めた「市立豊中病院運営計画(令和5年度~令和9年度)」を令和5年3月に策定し、病院職員一丸となって取組みを進めています。
同計画の詳細はこちらをご覧ください。
基本目標
地域医療機関等との連携を一層推進し、地域の中核病院として、急性期医療を安定的に提供することで地域医療を支えます
- 取組方針1:急性期医療を中心とした医療機能の充実
- 取組方針2:地域連携の推進
- 取組方針3:医療の安全と患者サービスの向上
- 取組方針4:安定した経営基盤の確立
