豆知識【消化器内科(消化管)】:アルコールと食道がん
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更新日:2023年2月6日
食道がんには40歳代後半以降増加し始め、女性より男性に多いがんです。食道がんは、扁平上皮がんと腺がんという2つの組織型があることが知られていますが、その原因や性質などが異なることがわかっています。日本を含む東アジアでは、食道がんのほとんどは扁平上皮がんです。食道扁平上皮がんの原因としては、飲酒や喫煙の関連がよく知られています。特に、飲酒で顔が赤くなる体質のかたで、ヘビースモーカーの場合、飲酒量が増えると食道がんリスクが高くなることが数多くの疫学研究によって示されています。
アルコールは生体内で、2つの酵素の作用により、アセトアルデヒド、その後、酢酸となり、最終的に水と二酸化炭素に段階的に分解され、体外へ排出されます。これらアルコールの分解酵素の働きは遺伝子で決められた強弱があります。このアセトアルデヒドの分解酵素の働きが弱い場合、アセトアルデヒドが蓄積し、飲酒で赤くなり二日酔いを起こす原因となります。2007年世界保健機関(WHO)は、アルコール飲料に関連したアセトアルデヒドが発がん物質であるとし、食道扁平上皮がんの原因となるとも結論づけています。しかし、禁煙と節酒という生活習慣の改善により、食道がリスクを下げることができることも報告されているので、リスクの高いかたは、禁煙、節酒に心がけるのみならず、検診をうけられることをお勧めいたします。