主な疾患:食道裂孔ヘルニア(逆流性食道炎)、高度肥満
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更新日:2025年4月17日
食道裂孔ヘルニア(逆流性食道炎)
食道裂孔ヘルニアとは
本来、横隔膜によって胸の空間(胸腔)とお腹の空間(腹腔)が隔てられていますが、加齢や生活習慣、先天性などさまざまな要因で横隔膜が脆弱になり、胃の一部が胸腔に飛び出してしまうことを食道裂孔ヘルニアといいます。食道裂孔ヘルニアによって、胃の内容物が食道に逆流しやすくなり、逆流性食道炎を起こしたり、食道と胃の形が変形することによって食事が通りにくくなります。
食道裂孔ヘルニアの分類
食道裂孔ヘルニア手術
生活指導や投薬によって大部分は症状の改善が見られますが、症状が改善しない場合は、手術を検討する必要があります。以前は開腹手術を行うことが一般的でしたが、当院では、飛び出した胃をお腹に戻し、横隔膜を補強するとともに、食道と胃のつなぎ目に胃を巻き付けて逆流しにくくする手術を、5ミリメートルから1センチメートルの孔をお腹に5つ程度開けて行う腹腔鏡で行っています。
高度肥満
高度肥満とは
近年、生活習慣の欧米化によって日本人においても肥満の割合が増加してきており、Body Mass Index(BMI:体重を身長の二乗で割った値)が25キログラム/平方メートル以上を肥満といいます。肥満がすなわち病気ではありませんが、高度の肥満や肥満の期間が長引くと、糖尿病、高血圧、高脂血症をはじめとする様々な生活習慣病(メタボリックシンドロームや代謝内分泌疾患)を発症する危険性が高まります。それによって動脈硬化が進行し、心臓疾患や脳卒中などの命にかかわる病気を引き起こします。一般的に、肥満の治療は食事療法や運動療法などの生活指導をはじめとする内科的治療を試みますが、高度の肥満患者さんでは、内科的治療では減量がうまくいかないことが多いとされ、外科手術を行う場合があります。
肥満手術(メタボリック手術)
もともと肥満手術は欧米を中心に発達してきましたが、日本人における肥満患者の増加とともに日本でも導入されるようになり、2014年に腹腔鏡下スリーブ状胃切除術が保険診療として承認されました。高度肥満患者さんに対する腹腔鏡下スリーブ状胃切除術は、お腹の5ミリメートルから15ミリメートル程度の小さな傷から内視鏡と手術用器具を挿入し、胃を切り取り細長く形成します。それによって胃の大きさはバナナ1本分くらい(150cc程度)に小さくなり、食事摂取量を少なくすることが可能です。良好な体重減少とともに、糖尿病をはじめとする代謝内分泌疾患や、睡眠時無呼吸症候群、変形性質関節症などの肥満に関連するさまざまな疾患の改善が期待されます。
肥満手術は手術単独で完結する治療ではありません。肥満に関連するさまざまな疾患の治療や、手術前後の栄養指導、心理面でのサポートも重要であるため、当院では、外科のみならず内科、看護師、栄養士や臨床心理士、理学療法士などの多職種でチームとして診療に当たります。
肥満手術の適応
肥満手術については、すべての肥満患者さんに行えるわけではなく、厳密に手術の適応が決まっています。また美容目的の手術適応もございません。
- 6か月以上の内科治療にもかかわらず、減量しない、もしくはリバウンドしてしまった方で、BMI 35キログラム/平方メートル以上の患者さん。
- さらに、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群のうち1つ以上合併している患者さん。
- さらにいくつかの細かな条件があります。
