市立豊中病院は国指定の地域がん診療連携拠点病院として幅広い分野で専門のスタッフががん診療にあたっています。がん診療は、日々新たな薬剤や治療法が開発されていますが、その中でも今、「がんゲノム医療」が注目を集めています。今回は新たながん医療「がんゲノム医療」についてご紹介します。

「がん」は遺伝子の変化（変異）によって発症する病気とされており、その変異は患者さまによって異なります。「がんゲノム医療」は、患者さまのがん組織を用いて、ゲノム（遺伝情報全体）を調べ、一人ひとりのがんの変異（原因）を明らかにし、その人の体質や病状に合わせて治療などを行う医療です。
従来のがん治療は、がんの発生した臓器やステージ（病期）ごとに画一的に定められた「標準治療」を行っていたのに対して、「がんゲノム医療」は、患者さま一人ひとりのがんの遺伝子変異を「がん遺伝子パネル検査」で調べることによって有効な薬剤の選択をめざす「個別化医療」と言えます。

国は、全ての都道府県でがんゲノム医療の提供が可能となることをめざしており、現在、「がんゲノム医療」を実施できる病院として「がんゲノム医療中核拠点病院」12施設、「がんゲノム医療拠点病院」33施設、とそれらと連携する「がんゲノム医療連携病院」161施設を指定しています（令和2年（2020年）4月時点）。当院は、「がんゲノム医療連携病院」の指定要件を満たしており、令和3年度（2021年度）、連携病院として「がんゲノム医療」を推進していく予定です。

（1）検査説明・同意取得・解析試料の採取（がんゲノム医療連携病院）

「がんゲノム医療連携病院」では、患者さまへのがん遺伝子検査の説明、解析試料の採取等を行います。

（2）がん遺伝子パネル検査（検査施設）

採取された試料を用いて、専門の検査施設で「がん遺伝子パネル検査」を実施します。

（3）検査結果に基づく治療法の検討（がんゲノム医療中核拠点病院・拠点病院）

国立がん研究センターの「がんゲノム情報管理センター（C-CAT）」で、検査結果等を集約し、使用できる薬剤の候補や臨床試験などの情報をまとめます。「がんゲノム医療中核拠点病院」や「がんゲノム医療拠点病院」では、がん遺伝子パネル検査やC-CATの情報をもとに、エキスパートパネルと呼ばれる専門家会議で、推奨される薬物療法などを検討します。

（4）結果の説明・治療選択（がんゲノム医療連携病院）

「がんゲノム医療連携病院」では、検討結果を活用し、主治医と患者さまで今後の治療方針を決定します。また、遺伝カウンセリングの実施やがんに関する情報提供なども行います。

現在、保険診療として実施できる「がん遺伝子パネル検査」はすべてのがん患者さまが対象となるわけではありません。現時点では、1「希少がん」など標準治療がない人、2標準治療が終了した人、3標準治療の終了が見込まれる人、に限って保険適用となります。

現在はがんゲノム医療を受けられる対象が非常に限られていますが、今後もっと早期の段階から「がん遺伝子パネル検査」を実施し、薬剤を適切に選択できることが望ましいと関連学会からも提言されており、現在もさまざまな検査方法の研究が進んでいます。「がんゲノム医療」の今後の進展に、是非ともご注目・ご期待いただきたいと思います。

「よくわかる！がんゲノム医療と手術支援ロボットのお話し」をテーマに、令和2年（2020年）11月に開催した「がん医療市民公開講座」を豊中市公式ユーチューブチャンネル「とよなかチャンネル」で映像配信しています。
ご興味のある方は、市立豊中病院の「がん医療公開講座」のページからも動画を視聴できますので、ぜひご覧ください。

当院では、感染拡大防止のため入院患者さまへの面会を制限していますが、入院患者さまとご家族の不安を軽減し、少しでも面会をしていただけるよう、オンラインによる面会を導入しております。
事前予約制で、電話又は当院面会受付コーナーでお申込みいただけますので、お気軽にご利用ください。

利用時間　月曜日から金曜日　14時から、14時30分から、15時から、15時30分から（1日4枠）
面会時間　15分
面会方法　ご来院いただき、面会受付コーナー（1階）にお越しください。スタッフが面会場所にご案内します。1階面会場所と病室をオンラインでつなぎ、面会していただきます。
申込受付時間　月曜日から金曜日　9時から17時まで（面会希望日前日までにお申込みください。）

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