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主な疾患:胃がん、粘膜下腫瘍、食道がん

ページ番号:809845484

更新日:2021年10月6日

経口抗がん剤の説明 薬剤部

胃がん

胃がんとは

がん細胞は正常細胞が変化したもので、無秩序に増え続けます。胃がんは、胃の壁のもっとも内側の粘膜(食べ物が通過する場所)に発生し、胃壁の外に向かって粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜と広がっていきます。原因としては遺伝的要素に加えて、ヘリコバクターピロリ菌の感染や、塩分のとりすぎ、喫煙、野菜不足などが原因とされています。胃がんの症状として、早期であれば症状がない事が多いですが、進行してくればみぞおちの痛みや通過障害による吐き気、貧血にともなうふらつきや倦怠感が出ることがあります。

診断

上部消化管内視鏡検査や胃透視検査で発見されます。
がんが粘膜あるいは、粘膜のすぐ下の粘膜下層までにとどまっているものを早期がんといい、胃壁の筋層を越えて広がったものを進行胃がんといいます。早期胃がんの場合、手術で切除すれば9割以上の確率で治ります。進行胃がんは、手術や抗癌剤を組み合わせることで治癒をめざします。

早期胃がん(1期の一部)

がんが胃壁の表面にとどまっている。

進行胃がん(1期の一部と2期、3期)

がんが胃壁の深くまで達している。周囲のリンパ節に転移している。

胃以外の臓器まで広がった胃がん(4期)

がんが肝臓、肺、腹膜や遠くのリンパ節に転移している。

各進行度合いの図説。

胃がんでよくみられる転移のイラスト。肝転移、リンパ節転移、腹膜播種性転移などがある。

治療方法

治療方針はがんの進行度と患者さまの全身状態で決定します。
治療方法は主に次の3つです。

A)内視鏡治療

リンパ節転移の可能性の低い一部の早期がんに対し行います。上部消化管内視鏡(胃カメラ)を用いた内視鏡的治療(ESD:内視鏡的粘膜下剥離術、EMR:内視鏡的粘膜切除術)によって、粘膜ごとがんを切除します。

B)外科的切除

内視鏡治療で治療できない早期胃がんや、進行胃がんの患者さまに対して手術を行います。胃と胃の周囲の転移の可能性のあるリンパ節を切除します。胃とリンパ節の切除範囲については、胃がんのできた場所や進行度によって決まります。
手術を受ける場合には、みぞおちから(へそ) のあたりまでの皮膚を切開して行う開腹手術が標準とされています。しかし当院では大部分の患者さまに対して、5ミリメートル~3センチメートル程度の小さな傷から、腹腔鏡や手術器具を挿入し、モニターに映し出されるお腹の中の画像を確認しながら行う低侵襲手術(ロボット支援手術や腹腔鏡手術)を積極的に行っています。
低侵襲手術は開腹手術と比較して傷が小さいため、整容性に優れるとともに術後の痛みが少なく、手術からの回復も早いと言われており、当院では早期がんだけでなく、進行がんに対しても広く行っています。
また高度進行がんに対しては、術前に抗がん剤治療(術前補助化学療法)を2~4ヶ月行った後に手術を行い、治癒成績を向上する取り組みをしています。また、術前化学療法に先進医療や治験なども積極的に取り入れることで患者さまにより多くの治療の選択肢を提供できるようにしています。

C)薬物療法

胃がんでは、手術を行っても一定の頻度で再発することがあります。再発のリスクを下げるためには術後に行う抗がん剤(術後補助化学療法)が非常に重要になりますが、手術後に抗がん剤を続けることは患者さまにとって大きな負担です。当院では、内科・看護師・薬剤師・栄養士・かかりつけ医と連携しながら患者さまが術後の抗がん剤をしっかりと継続できるように取り組んでいます。

治療を開始する時点で高度の進行状態であり、手術と術後補助化学療法だけでは十分な治療効果が期待できない場合は、術前に抗がん剤(術前補助化学療法)を行う場合があります。

さらに高度なリンパ節転移、腹膜播種、肝転移等の遠隔転移(4期)があり、手術で完全に切除することが困難な時は、抗がん剤治療(化学療法)を行うことが推奨されています。これらの治療前は手術ができなかった患者さまでも、抗がん剤の治療効果によっては手術を組み合わせることで、治療成績の向上が期待できることがあります(コンバージョン手術)*。

* 高度なリンパ節転移、腹膜播種、肝転移等の遠隔転移がある胃がんに対するコンバージョン手術については、化学的根拠はまだまだ十分ではなく、その適応については今後も十分に検討が必要です。

胃の切除範囲と再建方法について

胃の出口側(幽門側)にできたがんの場合

胃の約3分の2を切除します。
再建方法は、残った胃(残胃)と十二指腸を直接つなげる(吻合(ふんごう)する)ビルロート1法が多いですが、残胃が小さい場合には胃と小腸をつなげるルーワイ法を行う場合もあります。

胃の出口側(幽門側)にできたがんの場合の主な再建法であるビルロート1法、ビルロート2法、ルーワイ法の図説。

胃の入口側(噴門部)にできた進行がんの場合

胃全摘を行うことが一般的ですが、当院では根治性を低下させることなく、患者さまの生活の質を維持できるよう、胃を少しでも残せるよう取り組んでいます(機能温存手術)。
胃全摘を行う場合、再建方法はルーワイ法となります。

ルーワイ法での接合方法の図説。胃を摘出した後、十二指腸から伸びた小腸を切断して食道につなげ、残った十二指腸を小腸の途中につなげ直します。

胃の入口側(噴門部)にできた早期がんの場合や、食道と胃の境目にできた進行胃がん(食道胃接合部がん)の場合

胃の口側約3分の1から2分の1を切除します。
再建方法は様々な方法がありますが、患者さまの状態に合わせた再建方法を心がけています。特に、本術式は術後に逆流症状に悩まされることが多く、逆流の少ない再建方法(上川(観音開き)再建術)を積極的に取り入れています。

胃の入口側(噴門部)にできた早期がんの場合の主な再建法の内、食道胃の入口側(噴門部)にできた早期がんの場合の主な再建法の内、食道残胃吻合法、空腸間置法、ダブルトラクト法での接合方法の図説。

術後経過

通常手術前日に入院していただき、胃がん手術後約10日(最短で5日)で多くの患者さまは退院されます。胃を切除した患者さまは、食事が思うように摂れなかったり、体重や筋肉量の減少によって生活の質が悪化することが問題となります。当院では、手術前、退院直前、退院後にご家族と栄養指導を受けてもらい、できるだけ体重を維持できるよう食べ方などを学んでいただきます。また、手術前から積極的に運動療法を行ってもらい、筋力を維持していただくことで、手術後も生活の質が悪化しないように取り組んでいます。

caption
治療法 治療日数
胃全摘術 入院:術前1日前
退院:術後8~12日
噴門側胃切除術 入院:術前1日前
退院:術後6~10日
幽門側胃切除術 入院:術前1日前
退院:術後6~10日
胃局所切除術 入院:術前1日前
退院:術後4~6日
審査腹腔鏡検査 入院:術前1日前
退院:術後2~3日

術後治療と通院

手術後に切除した組織の顕微鏡検査(病理検査)を行い、がんの進行度を最終的に診断します。1期であれば3~6ヶ月毎の通院で血液検査やCT検査、胃カメラを定期的に行い再発のないことを確認します。2期以上であれば、その進行度に応じて、再発予防のための抗がん剤治療(術後補助化学療法)を約1年間行います。術後5~7年間し再発がなければ治療を完了します。

粘膜下腫瘍(GIST)

粘膜下腫瘍とは

通常がんは粘膜(食べ物が通過する場所)に発生しますが、粘膜下腫瘍はそのさらに深部から発生する腫瘍です。腫瘍の種類にはGIST、平滑筋腫や平滑筋肉腫、神経系原性腫瘍、脂肪腫・脂肪肉腫などが挙げられます。

GISTとは

GISTとは粘膜下腫瘍の1つで、発生頻度は、10万人に1~2人と少なく、希少がんの1つに位置付けられます。発生部位として胃の割合が70%と高く、次いで小腸20%、大腸および食道が5%となっており、胃カメラで偶然発見されることが少なくない病気です。病変が大きくなると腹痛や腫瘍からの出血による下血、貧血などの症状があらわれることがあります。切除することが可能な場合は、手術を行います。

治療方法

A)外科的切除

GISTと診断されれば大きさに関わらず手術が行われます。もしGISTと診断できていない粘膜下腫瘍の場合は、大きさや経過によって手術が選択されます(2センチメートル以上、増大傾向など)。GISTは癌と違って腫瘍細胞が周囲の組織に浸潤する傾向は少なく、リンパ節への転移も非常にまれです。そのため、GISTの手術では、できるだけGISTができた臓器を残し、かつ、その機能を損ねないように局所切除を行います。

当院では5センチメートル以下であれば全例で術後の回復が早い腹腔鏡下手術で行っています。また消化器内科医と連携し、術中に内視鏡検査を併用することで、より臓器の機能を温存した手術に取り組んでいます(LECS手術)。

B)化学療法

切除ができない場合や再発のリスクが高いと判断される場合は、分子標的薬であるイマチニブを使用します。イマチニブは手術不能な患者さま、または再発した患者さまの第一選択薬となっています。

術後経過

通常手術前日に入院していただき、手術後約1週間で多くの患者さまは退院されます。ほとんどの患者さまは胃の機能の大部分が温存されるため、日常生活は手術前とほぼ同様に行えます。

術後治療と通院

切除した組織の顕微鏡検査(病理検査)で再発する可能性が高いGIST(高リスク群)に対し、イマチニブを術後3年内服した場合に再発のリスクが抑えられることがわかりました。そのため、高リスク群や腫瘍破裂が認められる患者さまには、術後3年間のイマチニブによる薬物療法が推奨されています。
再発のリスクが低いものであれば6~12ヶ月毎にCTや胃カメラを定期的に行い、再発のないことを確認します。

食道がん

食道がんとは

食道がんは喫煙やアルコールが原因とされています。食道がんの症状として、 嚥下(えんげ)時(飲みこむとき)の違和感や閉塞、嘔吐、嗄声(させい)(声のかれ)が出現します。

診断

食道がんは上部消化管内視鏡検査や透視検査で発見されます。
食道がんは、食道の壁のもっとも内側の粘膜(食べ物が通過する場所)に発生します。一方で、進行食道がんの場合、食道以外へのがんの転移が懸念され、それぞれの進行度に応じた治療法の選択が必要となってきます。

食道まわりの名称の図と、食道がんが発症した際の食道以外へのがんの転移を示した図。

治療方法

治療の治療方針はがんの進行度と患者さまの全身状態で決定します。
治療方法は主に次の3つです。

A)内視鏡切除

リンパ節転移の可能性の低い一部の早期食道がんに対し行います。上部消化管内視鏡(胃カメラ)を用いた内視鏡的治療(ESD:内視鏡的粘膜下剥離術、EMR:内視鏡的粘膜切除術)によって、粘膜ごとがんを切除します。

B)外科的切除

内視鏡治療で治療できない早期食道がんや、進行食道がんの患者さまに対して手術を行います。食道がんは食道の周りだけでなく、リンパ節にも転移を起こしやすく、食道切除のみならず、首やお腹のリンパ節を郭清(かくせい)が必要になります。また、食道切除後に胃を用いて消化管を再建する必要があり、首、胸、お腹の手術操作が必要になります。当院では、5ミリメートルから1センチメートル程度の小さな穴とみぞおちの小さな傷で手術を行う低侵襲手術(胸腔鏡+腹腔鏡手術)を導入しています。
進行食道がんの場合には、まず術前抗癌剤治療や術前放射線化学療法を2ヶ月行った後、手術を行うのが一般的です。

食道のどの位置にがんが発生するかによる、外科的切除と吻合の図説。

C)化学療法(抗がん剤治療)、放射線療法

食道がんは胃がんや大腸がんなど他の消化器がんに比べ、抗がん剤の効果は高いといわれていますが、切除可能な進行食道がんに対する化学放射線併用療法でがん細胞が完全に消失する率は約20~40%であり手術に比べると劣ります。また外科治療の適応とならないような高度進行例に対する姑息的治療という位置付けや、がんによる症状緩和を目的として行われることがあります。

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