No.55「がんになっても自分らしい生活を送るために」〔令和4年(2022年)3月発行〕
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更新日:2022年3月7日
がんになっても自分らしい生活を送るために
市立豊中病院では、がんになっても患者さまやご家族のQOL(Quality Of Life = 生活の質)が維持・向上するよう、多職種で構成するチームによるサポートをはじめ、さまざまな活動に取り組んでいます。
今回は、「がんになっても自分らしい生活を送るために」をテーマとして開催した「第19回 がん医療市民公開講座」(令和3年(2021年)11月27日(土曜)千里ライフサイエンスセンターにて講演)の内容を特集します。
1「自分らしく生きるための4つのケア」
緩和ケアセンター
特任顧問 柏木 雄次郎医師
がんになると、さまざまな苦痛が現われます。大きく「4つの苦痛」が挙げられますが、それらを緩和・軽減し、自分らしく生きていくサポートをするのが「4つのケア」いわゆる「緩和ケア」です。
緩和ケアは終末期ケアとは限りません。むしろ、がんと診断された時点から4つの苦痛が始まるので、すぐにそれぞれの患者さまに対応したケアを受けていただくことが大切です。
苦痛から解放され、自分らしく生きていくために、医師や看護師をはじめ、医療ソーシャルワーカー・リハビリテーション専門職・公認心理師などがチームでお手伝いします。
緩和ケア
- 身体的苦痛のケア
痛み・息苦しさ・全身倦怠感・吐き気などの緩和・軽減 - 精神的苦痛のケア
不安・うつ・焦燥・不眠・せん妄などの緩和・軽減 - 社会的苦痛のケア
仕事や経済的な問題・家庭内の問題などの緩和・軽減 - スピリチュアルな苦痛のケア
生き甲斐を失う・死への恐怖などの緩和・軽減
緩和ケア=ライフサポート
自分らしく生きていくために
2.「○○とがん治療の両立」
がん相談支援センター
医療ソーシャルワーカー 宮本 美和
がんには怖いというイメージがつきものですが、治療法の進歩により、生活と治療を両立しながら治癒をめざし、長く付き合っていく病気へと変化しています。
がん相談支援センターでは、がんになっても自分らしい生活が送れるように、患者さまやご家族が抱える悩みをお聴きし、解決に向け支援しています。
また、当事者同士で気持ちや体験を共有し支え合う場として、「とよなかがんサロン」を毎月開催しています。
全国のがん患者さまの約3割が働く世代(20歳~64歳)で、就労しながら通院する人は約45万人にのぼります。がんになっても仕事と治療が両立できるように、
- 「治療しながら働き続けるためにはどうすればいい?」
- 「休暇中の経済面に不安を感じる。」
- 「復職のタイミングは?」
などのご相談に、大阪府社会保険労務士会やハローワーク池田など「仕事に関する専門家」と連携しながら支援しています。
「仕事に関する専門家」との連携
相談
- ハローワーク池田出張相談会 : 就職、転職、定着支援
- 社会保険労務士会ホットライン事業 : 社会保険、雇用保険、労使関係
- 職場(産業医や人事担当者) : 休暇取得、復職、配置転換)
- 産業保健総合支援センター : 就労継続、職場復帰支援
- 主治医(医療スタッフ) : 病状、治療計画、副作用
3「一緒にはじめるがんのリハビリテーション」
リハビリテーション科
部長 山本 健吾医師
がんのリハビリテーション治療とは、「がん治療の一環として、リハビリテーション科医とリハビリテーション専門職により提供される医学的治療」です。
他疾患のリハビリテーションと同様に、患者さまの状況や希望に応じて行う訓練であり、QOL(生活の質)を向上させることを目的としています。
当院では、患者さまが「前向きに治療に臨める」 「退院後により良い生活が送れる」などを目標に、リハビリテーション職種だけでなく、看護師や医療ソーシャルワーカーなどのチームでリハビリテーションを行っています。
ぜひ一緒にリハビリテーションに取り組んでいきましょう。
リハビリテーション専門職
- PT:理学療法士
- OT:作業療法士
- ST:言語聴覚士
※がん医療市民公開講座の配信動画を、市立豊中病院の「がん医療公開講座」のページから視聴できます。
ハローワーク池田出張相談会を開催しています
ハローワーク池田と協定を結び、毎月第3水曜日の13時から16時まで当院がん相談支援センターにて出張相談会を開催しています。
がん治療で当院に通院している方を対象に、治療と仕事の両立、就職活動など就労の悩みや不安をマンツーマンでサポートします。事前予約が必要ですので、下記までお問い合わせください。
問合せ:がん相談支援センター
06-6843-0101(代表)
令和4年(2022年)4月 市立豊中病院に消化器センター開設
市立豊中病院では、消化器疾患に関して、消化器内科・消化器外科といった専門化した診察に加えて、診療科の垣根を越え、幅広くさまざまな消化器症状を診察するため、令和4年4月に「消化器センター」を開設します。
内科医と外科医が診療チームとして、さまざまな角度から個々の患者さまに対する診断および治療にあたることで、より質の高い医療の提供に取り組んでいきます。
情報は随時、当院のホームページで公開します。
ご寄附ありがとうございます
みなさまからの寄附金で保育器を購入しました。早産や低体重で生まれた体温調整が難しい赤ちゃんの発育を助ける環境づくりを行います。
これからもより良い医療の提供に努めていきます。