No.59「市立豊中病院のがん診療」[令和6年(2024年)2月発行]
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更新日:2024年2月27日
市立豊中病院のがん診療
市立豊中病院は、「地域がん診療連携拠点病院」として厚生労働省から指定を受けています。
専門的ながん医療を提供し、地域におけるがん診療の連携体制の整備、患者さま・市民の皆さまへの相談支援や情報提供などの役割を担っています。
今回は「がん診療」について紹介します。
がんと診断されたその日からあなたらしい生活を続けるためにサポートします。
※がん診療に関する詳しい情報は、こちらからもご覧いただけます。
がんゲノム医療センター ~一人ひとりのがん遺伝子変異を調べて「個別化医療」を~
がん遺伝子パネル検査を実施し、得られた遺伝子情報から効果が期待できる薬剤を探し個別化医療を行います。また、がんゲノム医療に関する正しい知識の普及啓発や情報提供を行っています。
がんゲノム医療とは、主にがんの組織や血液を用いて、多数の遺伝子を同時に調べ、遺伝子変異を明らかにすることにより、一人ひとりの体質や病状に合わせた治療などを行う医療です。通常、標準治療※がない、または終了したなどの条件を満たす場合に、がんゲノム医療中核拠点・拠点・連携病院で行うことができます。
がんゲノム医療はがん薬物療法の個別化医療の最先端です。当院は令和3年4月に、厚生労働省から「がんゲノム医療連携病院」の指定を受け、保険診療で実施することができます。
※多くの臨床試験の結果をもとに専門家が検討を行い、最善であると合意の得られている治療法。
がんゲノム医療の実績
がんゲノム医療の実績令和4年(2022年)1月-12月 | |
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がん遺伝子パネル検査の適応の相談件数 | 57件 |
がん遺伝子パネル検査の実施件数 | 35件 |
治療候補が見つかった件数 | 15件 |
検査結果に基づく治療候補に結びついた件数 | 5件 |
検査結果に基づく治療を行った件数 | 2件 |
緩和ケアセンター ~痛みや不安なく治療をうけていただくために~
患者さまのご希望やご意向を尊重した医療やケアを提供するために、緩和ケアチームを多職種で編成し、それぞれの専門性を活かした緩和医療を行っています。
当センターへの相談内容は「がんの痛み」が最も多く、続いて吐き気や食欲不振などのからだの症状、精神的なサポートや在宅医療への支援などです。痛みを我慢していると、不眠や食欲不振を招き気力も低下します。
そこで、当院では各診療科と連携して各種神経ブロックや、緩和的放射線治療など、がんの痛みの緩和に取り組んでいます。症状を緩和し、その人らしい生活を送りながら治療を行えるよう患者さまとともにめざしています。
在宅療養や緩和ケア病棟(ホスピス)を希望する患者さまやご家族さまに応えるため、地域医療機関と「顔の見える」連携をはかり、希望する療養の場で充実した緩和ケアが行えるよう地域医療体制の整備を進めています。
緩和ケアチームの対応内容
緩和ケアチームの対応内容 | |
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痛みの緩和 | 39% |
痛み以外の身体症状の緩和 | 33% |
心理面支援 | 12% |
意思決定支援・アドバンスケアプランニング |
7% |
療養調整 | 3% |
睡眠傷害 | 5% |
家族支援 | 1% |
がん薬物療法センター ~有効で安全な抗がん剤治療を受けていただくために~
抗がん剤治療を行う際に必要なルールを整え、抗がん剤治療に関する資格を持つ薬剤師や看護師が、患者さまへ予想される副作用やその予防法、対策の説明を行っています。
自宅から通いやすい距離で、最新の抗がん剤治療を受けることができます。実施件数は年間約6,800件で、北摂ではトップレベルです。
当院は、各専門の診療科が充実しており、救急部門もあります。そのため、最近よく使われるようになった免疫チェックポイント阻害薬によって副作用が出た場合にも、診療科と連携して最善の治療、スムーズな対応を行うことができます。
治療中の患者さまのお困りごとに他のセンターとチームで連携して対応しています。
がん相談支援センター ~がんに関する不安や悩みの問題解決をお手伝いします~
全国にある、どなたでも無料・匿名で利用できる「がんに関する相談窓口」です。認定がん専門相談員の資格を持つ社会福祉士と看護師が、対面・電話・メールで相談に応じています。
当センターは、相談の質の維持・向上に努め、国立がん研究センターから「認定がん相談支援センター」の認定を受けています。(全国のがん相談支援センター456施設中、認定センターは30施設)
患者さま・ご家族さまの「からだ・こころ・くらし」を支えるため、様々な相談に対応しています。各種資料を活用し、医師や看護師、薬剤師など院内のスタッフとも協力しながら、問題解決をサポートします。
がん相談支援センターからのご案内
とよなかがんサロン(毎月1回開催)
がん患者さま・ご家族さまの交流の場です。毎月第4月曜日に当事者同士で体験や気持ちを語り合っています。
当院の患者さまだけでなく、他院通院中の方やご家族の方も多く参加されています。
詳しくは、こちらをご覧ください。
Toyonaka AYAトーク(毎月1回開催)
令和5年から始まった30~40歳代のがん患者さま・ご家族さまを対象とした交流の場です。
治療や副作用のあれこれをはじめ、治療と仕事や子育ての両立、運動や食事のことなどをトークしています。
詳しくは、こちらをご覧ください。
ハローワーク池田出張相談(毎月 第3水曜日13時~16時開催)
当院受診中のがん患者さまを対象に、ハローワーク池田の就職支援ナビゲーターが病状や治療スケジュールを考慮しながらマンツーマンで就職活動をサポートします。
詳しくは、こちらをご覧ください。
News 優秀賞を受賞しました!
(公社)日本看護協会主催の「看護業務の効率化先進事例アワード2023」において、当院(地域医療連携室)の『市全体で取り組む医療的ケア児への支援-市立病院の立場から-』の事例が「優秀賞」を受賞しました。
詳しくは、こちらをご覧ください。
開催報告
がん医療市民公開講座(令和5年(2023年)11月18日(土曜))
第1講は栄養と食事のはなしを中心に「がん治療において心と体を支えることの重要性について」、第2講は乳がんの治療と乳房再建をテーマに「手術可能な乳がんの治療(周術期治療)」と「乳がん切除後の乳房再建」について当院医師並びにがん病態栄養専門管理栄養士が講演を行いました。
講演の内容は、こちらをご覧ください!(YouTubeで視聴)
とよなかがんサロン100回記念講演会(令和5年(2023年)12月16日(土曜))
東京からいのちの落語家・樋口強さんをお招きし「とよなかがんサロン100回記念講演会」を開催しました。肺がん治療を経験した樋口さんの「いのちの落語~笑いは最高の抗がん剤~」は、ユーモアの中に生きる喜びやいのちの尊さを伝えるメッセージが込められており、満員となった会場は笑いと共感に包まれました。
