世界のしょうない音楽祭・ワークショップ10回目記念 -これまでのあゆみ-
世界のしょうない音楽ワークショップ・音楽祭は、今年で記念すべき10回目を迎えます!
当事業に長年ご尽力いただいている皆様に、この10年のあゆみを振り返っていただきました。
(コメントは順次追加いたします。)

2014年 初回のワークショップ

2018年 音楽祭

2019年 ワークショップ
井口淳子先生(大阪音楽大学音楽学部教授) |
第一回の「世界のしょうない音楽ワークショップ」は2014年12月に「哲学カフェ×オーケストラ」という名称で始まりました。 阪急庄内駅前ビルに、日本センチュリーの楽団員が練習後駆けつけ、音楽にほぼ縁のない参加者や小学生もまじり、90分間のワークショップを体験したのです。(哲学カフェというのは楽団員と参加者が円になり、哲学者、西川勝さんとともに自由に対話を楽しむ時間でした) 皆さん終始、笑顔で、遠方から参加した方が「楽譜にかかれていることを演奏することに必死になってきたけれど、こういう音楽にもひかれる」と発言されたことが印象に残っています。 センチュリーの楽団員がはさみこむとても繊細な音の工夫にも、野村誠さんはすぐに反応し指示を出され、当初より息がぴったり合っていました。 初年度の本番、音楽祭は商店街の雑居ビルの中で開催されました。ステージの真ん中に大きな柱がドーンとあり、ピアノは翌年からアップライトになりましたが、初年度はキーボードだったと思います。しょうないREKのメンバーが豊中市の職員とともに汗を流しながらパイプ椅子を並べて会場を整えてくださいました。 そのような手づくりのワークショップでしたが、年々参加者が増え、2018年には豊中文化芸術センター大ホールで堂々、音楽祭を開催するまでに成長しました。この時の楽器はオーケストラの西洋楽器をはじめ、邦楽(箏、三絃、尺八)、民族楽器(ガムラン、シタール)、古楽器、ヴィオラ・ダ・ガンバと子どもたちの各種打楽器、総勢63名が出演しました。 ワークショップの流れも整ってきました。日本センチュリー交響楽団の楽団員、大阪音楽大学の教員や卒業生が楽器体験を先導し、野村誠さんがワークショップから生まれたリズムや旋律や歌詞などのアイディアをもとに毎年、新作を作曲、その全6回のワークショップの成果は音楽祭で披露されます。 2020年初春にはコロナの影響で、作品ができているのに音楽祭が中止になったことは忘れがたい出来事でした。しかし、翌年もリモートでワークショップを開催するなど、工夫を重ねて継続されたのです。 今年、2023年度はこのワークショップと音楽祭の10年目となります。なんと、数名の参加者は初回から毎年参加されているのです!(これまでの参加者数はのべ450名近くにのぼります)。 初回からずっと参加されているセンチュリーの楽団員も数名おられます。こんなに長く続くとは、ワークショップを企画された柿塚拓真さんも想像されていなかったのではないでしょうか。 庄内という市場や商店街や音楽大学がある愛すべき下町に誕生した世界の楽器によるユニークなオーケストラは今年も世界にただ一つの響きをみなさまにお届けします! このワークショップのコンセプトは、「誰でも参加できる」ということです。年齢も音楽体験も何も関係しません。プロの音楽家もアマチュアもそれぞれの持ち味を発揮できるのです。 ともにステージで野村作品を演奏しませんか! 参考論文: 井口淳子『コミュニティ・アートとしての音楽 「世界のしょうない音楽ワークショップ」(2014~2019)の実践より』大阪音楽大学研究紀要 58 8-24 2020年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/daion/58年0月58日_8/_article/-char/ja/ |
小川和代さん(日本センチュリー交響楽団・ヴァイオリン) |
豊中しょうないで、世界の音楽の楽しさが体験できるワークショップです。 毎年いろいろな国の音楽や楽器が加わり、とにかく賑やかで楽しいワークショップです。今年もとっても楽しみにしています。 みなさんも、私達と世界中の音に触れながら楽しみませんか? お待ちしています!! |
巖埼友美さん(日本センチュリー交響楽団・ヴァイオリン) |
8年前、日本センチュリー交響楽団に入団して間もない頃、まだ右も左も分からない状態の私を、何人かの先輩方がこのワークショップに誘ってくださいました。「何も分からなくても良いので、とりあえず来てみて」とのことでした。当時は本業のオーケストラの方だけでもいっぱいいっぱいだった私ですが、何でもやってみたい年頃(?)でもあったので、迷わず行ってみることにしました。 参加してみると、その場で突発的に生まれる《音》や《言葉》《リズム》をきっかけにして、新しい音楽を作ろうという活動であることが分かりました。ワークショップの中で、連想ゲームのようにストーリーが出来てきたり、音の切れ端が膨らんでつながって、「音楽」になっていきます。いわば参加している人たち全員が作曲家であり、演者でもあります。 その年、その日にたまたま一緒になった参加メンバーの顔ぶれでしか作れないものが、たくさん生まれていきます。まさに一期一会の音楽です。 ある年には、その季節に食べた美味しいものを出し合って、「おもち」や「グラタン」などの言葉のリズムが曲になったこともあります。またある回では、細菌から体を守る免疫(?)の闘いをコントラバスの音で表現し、それが曲のモチーフになりました。「バリガムラン」と、お煎餅を食べるバリバリという音をかけて、曲の一部ができた時もあります。 これらのことを、どの楽器で表現するかは、参加する人が選べます。「世界のしょうない」ですから、世界中の色々な楽器がこのワークショップに集まっています。クラシックの西洋の楽器から、バリガムラン、インドのシタール、日本の尺八や琴、様々な打楽器まで。同じメロディーでも、演奏する楽器が変わると、その国の風が吹くように、空気が変わります。 どの楽器も、ごく基本的な技術はプロが教えてくれるので、初めて楽器を触る人でも大丈夫、というわけです。 こうして振り返ってみると、私のオーケストラ人生(といってもまだたったの8年ですが)は常に「世界のしょうない音楽祭ワークショップ」と並行して進んできたことになります。このワークショップが、私の中での「音楽」の意味を広げてくれました。私たちが生活していること、日本語(や他の言語)を喋っていること、そして人と出会うこと、全てが音楽なのだと。 オーケストラは、人が集まって音楽を発生させる、不思議な「場」のようなものだなぁと、そんなふうに思うようになりました。 さて、今年の「世界のしょうない音楽祭」では、一体どんな曲が作られたのでしょう?今年はどんなオーケストラが登場するのでしょう? ぜひ2月3日、見に、聴きに、お越しください! |