豊中市にプロのオーケストラがあるという魅力
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更新日:2026年1月23日

久石譲&日本センチュリー交響楽団 (c)s.yamamoto
豊中市を拠点とする交響楽団があるのをご存じですか?
その名は「日本センチュリー交響楽団」。
コンサートホールでの演奏に留まらず、市内の各地で市民のくらしと心に音楽の彩りを届けています。
さらに音楽あふれるまちの推進に関する協定に基づき「豊中まちなかクラシック」や入院患者や来院者のための「病院コンサート」
豊中市内の小中学生を対象とした「ホールでオーケストラ」など、地域連携事業にも積極的に取り組み、主催事業と合わせて年間200を超える公演を行っています。
今回は楽団の活動を支える「日本センチュリー交響楽団」事務局演奏事業課長の三村 総撤さんと、首席クラリネット奏者である
持丸 秀一郎さんにお話を伺いました。
目次
豊中市を活動拠点とした理由
地域に根ざした活動
「生の音」に触れる体験を
演奏活動のやりがいと苦悩
今後の展望~豊中市との共創を~
豊中市を活動拠点とした理由
―楽団が豊中市を新たな活動拠点とした理由を教えてください。
三村さん: 私たち楽団は2011年に大阪府から独立した後、豊中市が掲げる「教育文化都市」「文化を核とした街づくり」の理念に深く
共感し、活動拠点と定めました。
文化芸術センターや野外音楽堂といった演奏空間、大阪音楽大学等の教育機関、日本センチュリー交響楽団、一つの市内で
3つの音楽環境が揃っている市はほとんどありません。
市民が音楽に触れる機会が多く、昔から豊かな音楽的土壌があったことも、豊中市を拠点とした理由の一つです。

日本センチュリー交響楽団事務局 演奏事業課長 三村 総撤さん
地域に根ざした活動
―楽団が取り組む「地域に根ざした活動」について教えてください。
持丸さん: 私たちの活動は、コンサートホールでの演奏会だけではありません。
例えば、市内のお寺や教会などで演奏する「豊中まちなかクラシック」があります。
クラシック音楽への敷居を下げ、日常の動線上に音楽を届けるとともに、豊中市を「音楽あふれるまち」にする狙いがあります。
お客様と同じ目線、また距離も非常に近いので、ホールでは聴こえないような演奏者同士の「目配せ」や「息づかい」までをも感じて
もらえると思います。演奏者側からは、お客様の集中力や空気感が非常に身近に感じられるのですよ。
もう10年以上愛される取り組みとなっています。

日本センチュリー交響楽団 首席クラリネット奏者 持丸秀一郎さん
―長年取り組んでいただいている活動として、服部緑地野外音楽堂での「星空ファミリーコンサート」も印象的です。
三村さん:「星空ファミリーコンサート」は令和7年度で第30回目を迎え、豊中市の夏を彩る風物詩となっています。
暑い中での開催にもかかわらず、会場に入りきらないほど多くのお客様にお越しいただき今夏は過去最高の来場者数となりました。
特に「指揮者体験」は、毎年大人気のコーナーです。
お客様からのアンケートでは、もっと指揮者体験の枠を増やしてほしいという嬉しいお声もたくさんいただいています。
ホールでの演奏会とは異なり、その場でリアクションをしてもOK、出入自由、楽団員とのやりとりも楽しんでいただきながら、
一人でも多くの方にクラシック音楽の魅力や楽団を知っていただきたいと思っています。
こうした企画も、豊かな音楽環境がある豊中市だからこそ継続できるのです。
「生の音」に触れる体験を
―楽団では市民のみなさんとの交流もたくさん行われていますが、印象的なエピソードや伝えたいメッセージはありますか?
持丸さん: ぜひ市民のみなさんに体験していただきたいのは、コンサートホールで聴く「生の音」の圧倒的な響きです。
例えば「星空ファミリーコンサート」のような野外公演では、当然ながらPA機材(Public Address=音楽を聴衆に届けるために
使用する音響機器)を設置して音を増幅させています。そのおかげで広い野外でも、それぞれの楽器の音色がお客様まで届くの
ですが、PA機材は音質や音量を調整しているため、生の音の性質を変えてしまうという一面もあります。
一方、室内のコンサートホールでは、PA機材を一切使用しません。
それにもかかわらず、楽器から発せられた音は、ホールの構造や壁によって反響・調和し、一番後ろの席にまで立体的に
届きます。それは、楽団員一人ひとりが、広いホールの最後方にいるお客様にまで音を届けたい、響かせたいという思いを
もって、一音一音に注力して演奏しているからなのです。

日本センチュリー交響楽団HPより抜粋
―「生の音」には圧倒的な響きがあることや、楽団員のみなさんの一音にかける思いが伝わってきます。「生の音」を聴く魅力の一つとして、
当市では小学生への舞台芸術体験事業として取り組んでいる「ホールでオーケストラ」についてお聞かせください。
持丸さん:次代を担うこどもたちにも舞台芸術の素晴らしさ知ってもらおうと取り組んでいます。
ある年の学校公演で、「禿山の一夜」という曲を演奏しました。
悪魔などが出てくるおどろおどろしい曲調と、一夜明け穏やかな朝を迎える曲調が織りなす物語性の高い曲なのですが、
演奏途中で怖くて泣き出してしまうこどもたちがいました。
音楽には、癒し、楽しみ、美しいものだけではなく、悲しみや怒り、恐怖など様々な感情や時代背景、先代たちの遺した
「空気感」が詰まっています。演奏を聴いて流すこどもたちの涙を見たときに、私たちが奏でる「音」には、聴いている人の
感情をここまで揺さぶる力があるのだ、と強く実感しました。
音が単なる「音」ではない、音楽の持つ根源的な表現の力を、こどもたちの純粋な反応が教えてくれたのです。
こうした感情を揺さぶられる経験を、ぜひ幼少期から経験していただきたいと思っています。
演奏活動のやりがいと苦悩
―持丸さんが演奏活動を行う中で、やりがいを感じるのはどんな時ですか?
持丸さん: 最大のやりがいは、豊中のお客様の高い鑑賞能力と熱意に触れた時です。
真剣に聴いてくださる熱量が客席から伝わってきて、私たち演奏者への最高のモチベーションとなっています。
この街で演奏すること自体がプロとしての緊張感と喜びを与えてくれます。
―舞台上に観客の集中力が伝わるのですね。三村さんは活動の中で、壁にぶつかることはありますか?
三村さん: 楽団員のやりがいは活動の根幹ですが、その活動を支える財政面での継続性には常に課題が伴います。
無料の地域活動などは楽団単独の収益だけでは賄いきれません。
私たちの活動は企業様からの寄附に加えてクラウドファンディング等がありますが、中には遺贈という形で生前、
私たちの活動に共感してくださった方々が、財産を託してくださるケースもあります。
これは私たちの活動が市民の人生において文化的な「遺産」として認識されているという証であり、何物にも代えがたい喜びです。

熱い思いを話す 持丸さん(左)と三村さん(右)
今後の展望~豊中市との共創を~
―2024年、楽団は創立35年周年を迎えられました。今後の展望についてお聞かせください。
三村さん: 今年は楽団の事務局編成も大きくかわり、新たに世界的な音楽家である久石譲が音楽監督に就任しました。
既存の音楽にとらわれず、新たな挑戦をしていきたいと考えています。
また私たちは豊中市との連携をさらに強化し、これまで以上に踏み込んだ企画を共に創り出していきたいと考えています。
市の地域振興、福祉、教育といった分野のニーズを汲み取り、音楽だからこそ解決できる、音楽だからこそ生み出せる
新しい価値を市と共同でデザインしていくフェーズに入りたい。
具体的には市民が主体的に参加できるプログラムを増やし、豊中市を拠点に新しい時代の地域オーケストラのモデルケースを
めざしていけるよう、お互いに一歩踏み込んだ意見交流ができる関係性を深めていきたいと思っています。
持丸さん: そして私たちは、最高の演奏を続けることで、その熱意に応えていきます。
生の演奏を聴く体験や、その空気感を多くの市民の皆さんに体験していただき、楽団の応援団となってもらいたい。
これからも豊中の街に、ホールに、学校に、そして人々の心に届くように、プロとして演奏活動を続けていきたいと思います。
編集後記

リハーサル風景
今回の取材は、演奏会間近のリハーサル日。
ぴんと張り詰めた空気感でのリハーサル演奏は、楽団員の熱意と集中力が凝縮されており、
演奏会にかける思いに圧倒されました。
「生の音」の響きに心奪われ、取材でありながら時を忘れ聴き入ってしまったほどです。
リハーサルの合間を縫って取材に応じてくださった三村さん、持丸さん。
お二人のお話は大変興味深く、何よりも音楽を愛する熱い思いに胸を打たれました。
また楽団員の皆さんをはじめ、ご協力いただいた皆さまに心より感謝申し上げます。
私たちも楽団員の皆さんから学ばせていただいた熱い思いとプロ意識をもち、
日々の業務に取り組んでいきます。
お問合せ
総務部 人事課
〒561-8501 豊中市中桜塚3丁目1番1号 豊中市役所第一庁舎4階
電話:06-6858-2019
ファクス:06-6846-6177


