世界初の技術が豊中に!?~世界で使われる自動車の部品~
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更新日:2025年12月23日


この写真の部品、何に使うものかわかりますか?
正解は「ヒートインシュレーター」。
自動車のエンジン付近にある精密部品を、高温によるダメージから守るための部品です。
今回は、世界初の技術を使ってヒートインシュレーターを製造する三和パッキング工業株式会社を訪問しました。なんと同社は、軽自動車向けヒートインシュレーターで国内シェア8割を誇るリーディングカンパニーです。
目次
ヒートインシュレーター製造のきっかけ
なぜ、アルミ?
創業から受け継ぐ“ゆるがないこだわり”
今後の展望
ヒートインシュレーター製造のきっかけ
―会社の歴史と、ヒートインシュレーターの製造を始めたきっかけを教えてください
初代社長は、神戸でガスケットを製造する会社に勤務し、そこで技術を学びました。ガスケットとは、金属部品の間に挟み込んで液体や気体が漏れないようにする、”密封材”のことです。
その後、昭和20年(1945年)に独立し、大阪の福島で自動車用ガスケットの製造を開始しました。昭和48年(1973年)には豊中市利倉に本社工場を移転し、現在に至ります。
豊中へ移転後、ガスケットの技術開発を進める中で、断熱・制振・防音の機能を持つヒートインシュレーターの製造にも着手しました。

現在も製造しているガスケット
当初、ヒートインシュレーターは鉄で製造していました。しかし、自動車技術の進化に伴い、エンジンルーム内の「熱対策」が大きな課題となりました。現在の自動車は部品と部品の隙間が約5cmしかありません。その狭い空間で、エンジンからおよそ600度の熱が発生します。そのため、何らかの対策が必要となりました。
そこで、技術部門の社員が、アルミ製のヒートインシュレーターを考案しました。当時、競合他社はすべて鉄製でしたが、当社はアルミ製でありながら熱伝導を抑える画期的な技術を開発し、特許を取得しました。
その中核となるのが、ボルトから伝わる熱をヒートインシュレーターに伝わりにくくする「モーメントバスター」という技術です。さらに、ヒートインシュレーターの周囲を網状にすることで、熱が伝わりにくくなり、これらの技術により、アルミ製ヒートインシュレーターの実用化が実現しました。

三和パッキング工業株式会社総務部総務課 森好史さん
なぜ、アルミ?
―なぜ、アルミだったんですか?
アルミは鉄に比べて約5分の1の重さしかありません。自動車メーカーにとって軽量化は燃費向上に直結するため、これは大きなメリットとなります。
さらに、アルミには熱を反射する特性があります。熱は光と同じように反射する特性があるため、表面が光沢を帯びているアルミの場合、熱が内部に伝わりにくくなります。
ヒートインシュレーターは強い圧力がかかる部位ではないため、鉄の強度よりも「熱を反射して逃がす」という特性が重視されました。このアルミ製ヒートインシュレーターは、当時としては世界初の技術であり、画期的なものでした。
―改良と進化を続けているのですね!アルミについてもう少し教えてください。
採用したアルミ素材は、元々エンジンの部品ではなく、ガソリンタンクのカバーなどに使われていたものです。これを、エンジン部品に応用し、先ほど紹介したボルトからの熱が伝わりにくくするモーメントバスターや、熱の伝導を抑える網状構造を組み合わせています。さらに、二枚重ねの構造で間に空気層を設けることで、エンジンが高速で振動した際に、二枚の素材がわずかに共振します。その振動エネルギーを摩擦熱に変換することで、振動を抑制する効果もあります。
アルミを採用する最大の理由は軽量化です。この軽量化こそが、軽自動車の国内シェア8割につながっています。

自動車に使われているヒートインシュレーターの一部
創業から受け継ぐ“ゆるがないこだわり”
―ということは、私が乗っていた軽自動車にも使われていたのかなと思いながら聞いていました
そうですね。軽自動車のエンジンルームをのぞくと、銀色のヒートインシュレーターが取り付けられているのを見かけることがあります。沖縄でも北海道でも海外でも、自社製品を搭載した自動車が走っているのを見ると、技術者として誇らしい気持ちになります。

自動車に使われているヒートインシュレーター
―三和パッキング工業株式会社の技術力の高さの秘密や、特にこだわっている点について教えてください
根底にあるのは、「燃料を絶対に漏らさない」という密閉性への徹底したこだわりです。もしガスケットから燃料が漏れてしまえば、その製品は信用を失い、取引を継続することはできません。このこだわりは創業以来変わりません。
大げさな話かもしれませんが、砂漠の真ん中や南極・北極といった過酷な環境で走る自動車が、当社のガスケットが原因で停止してしまえば、人命に関わる事態になりえます。それは絶対に避けなければなりません。自動車が止まれば、暖房や冷房も使えなくなり、命の危険に直結します。
だからこそ、「当社の製品がいかに重要であるか」、その重要性に対する強い意識を全社員が持っています。当社が現在の地位を築けているのは、長年の技術力と信頼関係があってことです。そこには、初代社長の多大な努力が大きく関わっていると感じています。
今後の展望
―今後10年を見据えた目標やビジョンを教えてください
自動車業界はいま、大きな変革期を迎えています。当社も、これまで以上に成長し、常に新しい価値を提供し続けたいと考えています。
当社の製品は、自動車の安全走行に直結する重要な部品です。万が一、不具合があれば人命に関わる可能性もあります。そのような責任感を持って、日々製品を製造しています。
また豊中市に本社を置く企業として、地域の皆さんに当社をもっと知っていただくため、工場見学を通して、モノづくりの現場を体験できる「とよなかオープンファクトリー」にも参加しています。そして今回、3年目の職員さんがインタビューに来ていただいたことも、大変光栄に思います。

訪問した3年目職員
―本日は貴重なお話をありがとうございました。これから軽自動車を見かけるのが楽しみです。豊中市内に世界を支える企業があることを誇りに思います。
三和パッキング工業株式会社
https://www.sanwa-packing.co.jp
大阪府豊中市利倉2丁目18番5号
06-6863-0761
【編集後記】
三和パッキング工業さんを訪問し、自動車の安全と性能を支える「縁の下の力持ち」としての存在を深く知ることができました。実際にお話を伺って、軽量化と熱を反射する特性を両立させたヒートインシュレーターが、軽自動車で8割超のシェアを占めている事実に納得しました。
「燃料を漏らさない」という基本性能へのこだわりや、人の命に関わる部品を作っているという強い責任感。それらが、徹底した品質管理につながっていることを感じ、自然と背筋が伸びる思いでした。
今回、小さな部品に込められた大きな思いに触れ、心が動かされる取材となりました。地域や社会を支えるという点では、私たち市職員の仕事も同じ「縁の下の力持ち」です。その姿勢には、私たち市職員の業務にも通じるものがあります。
市内に、世界を支える企業があることを誇りに思いながら、これからも豊中市の発展と、市民の皆さんの豊かな暮らしのために力を尽くしていきたいです。
お問合せ
総務部 人事課
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