令和2年度(2020年度)【令和2年(2020年)8月31日開催】
バリアフリー事業の進行管理及び継続的改善のための意見交換の場として、豊中市バリアフリー推進協議会を設置しております。
※今年度につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策として書面による開催(文書による情報提供・意見照会)としております。
協議会資料
仮称)豊中市移動等円滑化促進方針(バリアフリーマスタープラン)の策定
豊中市は、平成14年に「豊中市交通バリアフリー化の基本方針」を策定し、「だれもが気軽にでかけられるまちづくり」を基本理念に、だれもが安全で便利に移動できるまちづくりを進めてきました。また、当事者や専門家の方々を招いて組織した本協議会において、公共交通、道路、公園、市有施設等の施設整備や障害者差別解消に関する取り組み等のソフト施策の進捗管理を行ってきました。
また、平成30年5月にバリアフリー法の一部が改正され、新たにバリアフリーマスタープラン制度が創設されました。バリアフリーマスタープランとは市町村が目標・戦略をたてて面的整備を推進するため、バリアフリー化の方針を示すものです。
この法改正を受け、豊中市では、現行の「豊中市交通バリアフリー化の基本方針」を発展的に見直し、「(仮称)豊中市移動等円滑化促進方針(バリアフリーマスタープラン)」を策定することで、さらなるバリアフリー化の推進をめざします。策定にあたり、施設利用者や関係事業者、市との協議・調整を行うために策定協議会を令和3年度に設置します。構成員は本協議会メンバーを軸として選定します。
策定までのスケジュールですが、令和2年度は庁内調整会議、市民アンケート、障害者団体等ヒアリングを基に素案を作成、令和3年度は策定協議会やパブリックコメントを経て策定及び公表を予定しています。
法の一部改正(令和2年6月)と心
平成30年12月のユニバーサル社会実現推進法の交付・施行やオリパラ東京大会を契機とした共生社会の実現に向けた機運醸成等を受け、「心のバリアフリー」の観点からの施策の充実などの対策を強化する「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。主な項目は3点あり、1つ目は公共交通事業者などの施設設置管理者におけるソフト対策の取組強化、2つ目は国民に向けた広報による啓発活動の取組推進、3つ目はバリアフリー基準適合義務の対象拡大といった内容です。
「心のバリアフリー」とは、様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支えあうことを意味しており、施設のバリアフリー化に代表されるハード整備が進んでも、高齢者や障害のある人等に対して、国民ひとりひとりが特性を理解し、接することができなければ、真の意味でのバリアフリー化は図れません。心のバリアフリーの取組事例として兵庫県明石市を取り上げます。明石市では、市民の理解を深めるための啓発活動として、交流イベントの開催、講演やフォーラム等の開催、実際の行動につなげるための気づきの機会を創出する場としてバリアフリー教室の開催やユニバーサルマナー検定の受講機会の創出、市職員による出前講座など多種多様な取組が行われています。
住居地区バリアフリー整備事業
豊中市交通バリアフリー化の基本方針に則り、平成23年度より、住居地区バリアフリー整備事業を進めてきました。現在8地区中7地区の整備が完了しています。令和元年度は上野・少路・野畑・東豊台・北緑丘小学校区の工事を実施し、歩道の段差解消や点字ブロックの敷設、勾配緩和、グレーチング蓋の改善等の工事を実施しました。令和2年度は、大池・蛍池・桜井谷・刀根山・桜井谷東小学校区の工事を行います。
歩道改良整備事業
歩道の段差解消や勾配緩和等を路線ごとに行っており、令和元年度は東豊中線と曽根箕面線の一部区間の整備を実施しました。平成24年度に作成した「歩道改良実施計画(改訂版)」に基づき、計画延長23kmのうち令和元年度までに17kmの整備が完了し、進捗率は74パーセントとなります。令和2年度は曽根箕面線の一部区間の整備を実施する予定です。近年、歩道改良事業に対する国費が減少傾向にあり、進捗に遅れが生じていることから、「歩道改良実施計画(改訂版)」の見直しを行います。
設置
車椅子等使用者にとって、階段や急な坂道、歩道端部の段差、幅員の減少は移動のバリアとなっています。改修できる箇所もありますが、地形的に不可能であったり、用地買収等が必要で、改修が極めて困難な箇所もあります。進路手前に看板設置や路面表示を行うことで、バリアの存在を知らせ、快適に移動できる環境を整備します。令和元年度は市内19箇所にバリアサインを設置しました。令和2年度には、残り約15箇所に設置する予定です。
大阪府池田土木事務所による府管理道路におけるバリアフリー整備の実施状況
府道豊中吹田線の阪急服部天神駅西口から服部西町3丁目交差点にかけてリブ式高視認性区画線(外側線)とカラー舗装(グリーンベルト)による歩行空間の整備を実施しました。カラー舗装(グリーンベルト)により歩行空間を整備するにあたり、車の運転手に振動と音でも走行の注意を促すように車道端の白線に突起(リブ)を付けました。なお、実施に際しては豊中市バリアフリーチェックシステムを活用しました。
府道大阪中央環状線(柴原町3丁目から桜の町3丁目)に、平成30年度から令和2年度にかけて視覚障害者誘導標示の新設・改善を実施しています。
府道旧大阪中央環状線(中桜塚3丁目)において、横断歩道部の切り下げブロックを取り換え、車椅子利用者の通行の支障となっていた歩道の横断勾配を緩和しました。
豊中市住居地区バリアフリー事業計画に基づき、府道大阪中央環状線の清風荘1丁目と柴原体育館南交差点において、車椅子やベビーカー利用者の通行の支障となっていた、歩道端部の段差を解消しました。
小中学校のバリアフリー化に関する事業
令和元年度は新田小学校や新田南小学校においてエレベーターの設置工事を実施しました。また、新田南小学校と南丘小学校ではトイレの改修工事、新田小学校と熊野田小学校は多機能トイレを設置及び改修工事を実施しました。第十四中学校は多機能トイレの改修工事を実施しました。小学校のエレベーターの整備率は約75パーセント、多機能トイレの整備率は約78パーセントであり、中学校のエレベーターの整備率は約94パーセント、多機能トイレ整備率は約55パーセントです。
今後は令和2年度に豊島小学校、東豊中小学校にエレベーターを設置、豊南小学校、東豊台小学校に多機能トイレ等を設置する予定です。
公園のバリアフリー化
多機能トイレへの置換は平成30年度に一定終了し、いろいろな人たちが利用できるようなトイレになりました。入口や室内は車椅子を利用する方が進入、転回できる広さを確保しています。令和元年度は3種類の整備を実施しました。1つ目は千里園公園、大黒町公園、島江公園の水飲み場をユニバーサルデザインタイプに置換しました。2つ目は千里園公園、大黒町公園、島江公園の出入口部の改善、3つ目は夕日丘公園と千里園公園の段差を解消しました。令和2年度は千里南町桃山公園、原田公園、曽根西町公園等について、ユニバーサルデザインタイプの水飲み場への置換や出入口の車止め改修、段差解消を実施する予定です。
障害者差別解消法の施行に基づく取り組
豊中市障害者差別解消支援地域協議会を開催し、障害のある人からの相談事項を共有しています。令和元年度は代表者会議を2回、ケース検討会議を2回行いました。また、代表者会議の構成機関を見直し、オブザーバーとして公共交通機関を加え、具体的な事例をともに共有することで、障害のある人の現状を知ってもらい、理解を広めることに繋げます。
平成29年6月1日より、継続してヘルプマークとヘルプカードの配布を実施しており、令和元年度はヘルプマーク1416枚、ヘルプカード1052枚を配布しています。いずれも障害福祉課・障害福祉センターひまわり・保健所・中部保健センター・千里保健センター・庄内保健センターにて配布しています。ヘルプカードについては市ホームページにてダウンロードが可能です。
大阪モノレール株式会社による可動式ホーム柵の設置
大阪モノレールでは、プラットホームからの転落、列車との接触事故の防止を図ることを目的に、順次、可動式ホーム柵の設置を進めております。千里中央駅は平成30年度に、大阪空港駅、蛍池駅は令和元年度に供用開始しました。少路駅は令和2年10月に供用予定、柴原阪大前駅は令和3年度に設置を予定しています。
大阪府住宅まちづくり部による大阪府鉄道駅等バリアフリー化促進方針の概要
2025年の大阪・関西万博とその先の将来を見据え、SDGsやユニバーサルデザインの視点に立ち、ハード対策とソフト対策を合わせて鉄道駅等のバリアフリー化を促進していきます。
具体的な内容として、令和2年度には1日3千人以上が利用する鉄道駅等は、ホームまでの経路のうち1ルート以上バリアフリー化、令和6年度には万博に向け、大阪環状線内の乗換え駅等を中心にバリアフリー化、令和11年度には、バリアフリールートの複数化や、乗換えルートのバリアフリー化、駅のエレベーターの複数化と大型化、利用者が1日3千人未満の駅についても1ルート以上のバリアフリールートを確保するなど、ユニバーサルデザインの視点に立った鉄道の更なるバリアフリー化を促進します。そのほか、駅ホームにおける安全向上やハード対策に合わせたソフト対策、駅とまちの面的・一体的なバリアフリー化を促進します。
会議次第等(PDF:85KB)
資料1:豊中市バリアフリー推進協議会設置要綱(PDF:129KB)
資料2:委員名簿(PDF:122KB)
資料3:移動等円滑化促進方針(バリアフリーマスタープラン)(PDF:591KB)
資料4:道路のバリアフリー化(PDF:5,182KB)
資料5:市有施設のバリアフリー化(PDF:494KB)
資料6:公園のバリアフリー化(PDF:543KB)
資料7:心のバリアフリー化(PDF:573KB)
資料8:旅客施設のバリアフリー化(PDF:480KB)
資料9:参考資料(PDF:177KB)
意見交換(書面
(意見の取りまとめ)
【意見内容】
1)歩道調査※の成果が形になったのはうれしい。バリアサインが必要な個所は他にもあるかと思うので、気づいたら情報提供する。(関連資料4-3)
2)バリアサインについて、上り坂は遠くからでも視認できるが、下り坂は近づかなければ視認できない。下り坂の手前から数か所にバリアサインを設置してほしい。また、何m先にバリアがあるのか表示してほしい。(関連資料4-3)
3)バリアフリー法が改正(令和2年6月)され小中学校のバリアフリー化が義務化された。小学校のエレベーター設置についてよりスピード感をもって取り組んでほしい。小学校にエレベーターがないのは残り10校なので後3年で終わらせるべきである。エレベーターの有無で車椅子使用者等の緊急時の避難先の選択が限られてしまうことや、ほかの学校の生徒との公平性が保てないことが問題である。(関連資料5)
4)貴市ではハードを中心に熱心にバリアフリー化にとりくまれ、その成果が面的に表れつつあると思う。マスタープラン制度を活用して、ソフト事業の具現化、災害時等のバリアフリー化にもとりくんでほしいと思います。よろしくお願いします。(全般)
【意見に対する市の考え】
1)今年度で市内全箇所にバリアサインの設置を一定完了します。今後は要望等で新たに設置が必要な個所にその都度対応してまいりますので、何かお気づきのことがありましたら情報提供をお願いいたします。
2)バリアサインにバリアまでの距離を表示することについて、今後検討してまいります。
3)本市におきましては、これまでも市内の小中学校にエレベーター設置や多機能トイレへの改修工事等、計画的にバリアフリー化整備に取り組んできたところです。今後もスピード感をもって、小中学校のバリアフリー化に関する事業を確実に進めてまいりますのでよろしくお願いします。
4)(仮称)豊中市バリアフリーマスタープランについては令和3年度に策定予定です。バリアフリー法の改正(令和2年6月)によりソフト事業がマスタープランに記載可能になったことや、「大阪府バリアフリー基本構想等作成促進指針」に災害時・緊急時の避難を想定した施設や経路のバリアフリー化が重要であることが記載されていること等から、豊中市でもこれらの内容を検討してまいりますのでよろしくお願いいたします。
※歩道調査:車椅子利用者や高齢者、ベビーカー利用者などの歩行困難者に積極的に出歩いてもらうことを目的とし、市内の歩道の舗装状況、段差、公園の出入り口や設備などを中学校単位で調査し、その結果を、写真を添えてホームページで公開しています。
(総括)
【近畿大学 名誉教授 三星 昭宏】
バリアサインは車椅子の方にとって必需品と思います。今までなぜなかったのかと思います。国のガイドライン類で明記してもよいと思います。当事者だからこそ強く要望できることで参加型ユニバーサルデザイン志向の成果です。小中学校のバリアフリー化は今回政府の施策になりました。豊中市は先行して頑張ってきましたが、エレベーターの情報設備、学校周辺部のバリアフリー化など検討課題もあると思います。
【大阪大学大学院人間科学研究科 未来共創センター 特任講師 石塚 裕子】
豊中市では、住居地区のバリアフリー化やバリアサインの整備など、市民意見を取り入れて独自のバリアフリー整備を進めてこられたことが形となり大きな成果をあげています。来年度、取り組まれるマスタープランづくりに期待しています。マスタープランは、これまでの取り組みを包括し、より多様な当事者参画を進めて、小中学校を中心に市民と行政が協働してコミュニティのバリアフリーに取り組むなど、新たな展開を楽しみにしています。
意見交換(PDF:134KB)
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