第25回(令和6年度第4回)長内市長ふれあいトーク「とよなかの環境をより良くするために」
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更新日:2024年12月26日
今回は、豊中市立豊島体育館で開催された「とよなか市民環境展2024」に参加しました。
とよなか市民環境展2024は、「Join us! ~みんなで地球のこと 豊中のことを考えよう~」をスローガンに、さまざまな環境に関する展示・体験ブースやステージイベントなどを通じて市民のみなさんに環境問題への関心を持っていただき、地域からの環境保全の行動につなげてもらうことを目的として開催されたイベントです。
ふれあいトークでは、出展団体の方々と出展ブースのPRや豊中の環境をよりよくするための取組みについて意見交換を行いました。
イベント概要
イベント名:とよなか市民環境展2024
日時:令和6年11月15日(金曜)、16日(土曜)
10時から15時30分
場所:豊中市立豊島体育館
主催:NPO法人とよなか市民環境会議アジェンダ21
共催:とよなか市民環境会議、豊中市、豊中市教育委員会
ふれあいトーク
「とよなか市民環境会議2024」に出展されたNPO法人とよなか市民環境会議アジェンダ21(自然部会)・千里森もりクラブ代表の易さん、一般社団法人ソーシャルギルド代表の山本さん、生活協同組合コープこうべ 大阪北地区本部長の高井さんとふれあいトークを実施しました。
易さん
山本さん
高井さん
環境に関する取組みについて
司会
まずは、皆さんが行っている環境に関する取組みについてお聞かせください。
易さん(NPO法人とよなか市民環境会議アジェンダ21(自然部会)・千里森もりクラブ代表)
私は、アジェンダ21(自然部会)や千里森もりクラブに所属し、自然環境を守るためのさまざまな活動を行っています。この他にも、島熊山緑地協議会と島熊山の雑木林を守る会という組織にも参加していて、地域の自然を残したいという思いで森の手入れなどの活動を行っています。
山本さん(一般社団法人ソーシャルギルド代表)
私たちは身近な暮らしから持続可能な社会を作り出したいという思いから子ども服のリユース活動を行っています。子ども服を回収し、無料で配布しています。また、活動内容を子どもたちにも知ってもらうために小学校へ出前授業を行ったりもしています。
高井さん(生活協同組合コープこうべ 大阪北地区本部長)
私たちの組合は、独自に「エコチャレ2030」という環境目標を設定しており、その目標に沿ってさまざまな取組みを進めています。私自身の豊中市との関わりとしては、NPO法人とよなか市民環境会議アジェンダ21の理事や市の廃棄物減量等推進審議会の委員も務めています。
「とよなか市民環境展2024」での出展内容
司会
今回の「とよなか市民環境展2024」で皆さんが紹介している取組みを教えてください。
易さん
アジェンダ21(自然部会)の今回の企画は外来生物について考えるという内容です。一例としては、「クビアカツヤカミキリ」という、桜や桃、梅の木に穴を開けて枯らせてしまう外来昆虫で、今年豊中市内で初めて被害が確認されました。大阪府内の他の地域で多大な被害が出ていることもあり、早い段階で豊中から一掃したいという思いで企画展を実施しました。もう一例は「オオキンケイギク」という外来植物で、これは黄色くてとても可愛らしい花で、持って帰って花瓶や鉢植えとして飾ったりされている人も多くいます。しかし、繁殖することで日本固有の植物が住処をなくしてしまっているということが問題となっています。そのため、このオオキンケイギクもできるだけ除去する活動を行っています。オオキンケイギクは環境省において、在来種に害を及ぼす特定外来生物に指定されており、これはミシシッピアカミミガメやアメリカザリガニと同様のものです。昔ながらの里山にある日本の植物がなくなってしまうことは非常に寂しいことですので、今回の環境展で啓発を行うことにしました。
市長
ウシガエルやアメリカザリガニも同様で、日本固有のザリガニもずいぶん減ってしまっています。気がついた時には手遅れになってしまっていて、大きな問題ですね。
易さん
そうならないように、現段階で食い止められるように取り組んでいます。
山本さん
わたしたちは「おゆずりぐるり」という子ども服のリユース活動をしています。私自身の経験から、子どもの成長は早いためどんどんサイズアウトしていって、まだ着られるのにもったいないという意識を持っていました。同じように子ども服の手放し方と手に入れ方をどうしようかと困っておられた方が多くいたので、地域で不要になったものを気軽に手放せて、必要な時に必要な分だけもらって帰れる場所を作りたいと思い、活動を行っています。今後はこうしたイベントの開催時だけではなく、公共施設などに常設して、いつでも手放せて、いつでも譲ってもらえる、そういった場所を作っていきたいと思っています。
市長
循環の仕組みでまさにSDGsですね。ご家庭での気づきをきっかけにこのような仕組みづくりに繋げることは素晴らしいと思います。
山本さん
元々もったいないという気持ちから始まって、活動のきっかけは、3年ほど前に豊中市が実施する「アーバンイノベーション事業」に応募したことです。これは協働の力で地域課題を解決するというもので、当時、市の家庭ごみ事業課がまだ使える子ども服がたくさん集まったものの、コロナ禍で配布できなくなったという課題を抱えており、配布方法を提案してほしいというものでした。市立環境交流センターで無償配布するという取組みを提案、実施したところ、約1カ月間で6,000枚以上の子ども服が配布できました。この取組みを通じて、大きなニーズがあることを実感し、また、配布だけではなく、回収もしてほしいという声もあがったため、次はコミュニティ政策課が市民公益活動を支援する「とよなか夢基金」に応募し、公共施設での子ども服の回収・配布を行いました。この事業を通じて、さまざまな関係団体とのネットワークもできたため、今後は拠点を増やしていきたい思いも抱いています。
市長
ご家庭での気づきを社会課題として捉え、それを社会の中の仕組みに取り入れ、さらに広げていただいていることを非常に頼もしく感じます。
山本さん
自分自身も安心して手放せて、必要な人に譲ることができ、また必要なものを譲ってもらえるので、私も参加者の一人であり、運営もみんなで一緒にしているという感覚です。
高井さん
今回の環境展では子どもから大人までクイズ形式でSDGsや環境のことを自然と学べるブースを出展しています。参加者に楽しんでもらいながら環境に対する意識を高めてもらえればと思っています。
コープこうべでは、販売期限切れによって発生する食品ロスの削減のため、「てまえどり」という取組みを始め、これは2022年の流行語大賞にもノミネートされるほど認知が広がりました。今回の環境展でも引き続き啓発を行っています。また、フードドライブの取組みにおいても、店舗や宅配事業を通じて回収を行っていることも知ってもらえるよう周知を図っています。
市長
豊中市の環境政策では、1996年に市が市民の皆さんととよなか市民環境会議を立ちあげて、それ以降継続している理由は、やはりもったいないという気持ちと、自然を守る意識だと思います。
ここ30年間ほどを思い返してみると、日本の世の中はお金を生み出すことやコストカットなど、お金の価値のみに尺度を合わせてきた時代であったように思われます。しかし、お金の価値はもちろん大切ではありますが、それ以上に人間が生み出す価値、また人間が存在する価値にしっかりと視点を移し替えていかなければならないとつくづく感じます。そのような観点で言うとロボットではできない人間でなければ手を入れることはできない、易さんの活動のように、本来、この日本には存在してはならない植物や動物をこれ以上増やさないという取組みはすごく大切だと思います。また、人間が作ったものを積極的に再利用するという循環型社会の取組みを市民起点で始めた豊中市の強みも改めて感じました。さらに、てまえどりの活動やフードロス対策の他、買い物かごやエコバックを持参することによるレジ袋の削減という取組みをこの地域で、事業者や市民と行政とが一緒に取り組めた意義と実績は非常に大きいと感じています。やはり、この循環型社会、SDGsの取組みは、人間が生み出した地球温暖化、気候変動を人間が変えていくことが大切であるとつくづく思います。これは、市役所が旗を振っても、部分的にしか進まないこともあり、やはり市民の皆さんと一緒に進めなければならないことを改めて感じました。
市長
毎年この環境展で感じることなのですが、一日に出るパンの廃棄量には驚かされています。市では「とよっぴー」という堆肥にはしているのですが、本来であれば子どもたちのお腹の中に入ってほしいと思います。やはり人間が豊かになって食べることに困らなくなったこともあるのでしょうが、フードロス対策が必要ですね。
高井さん
そうですね。私たちも店舗での売れ残りは少しでも減らしたいのですが、その一方で夕方に来店されたお客様が買いたい商品が売り切れてしまっていることも避けたいという思いもあります。急な天候不良等の要因もあるので、発注数量を調整することが難しい状況です。ただ、週に一度お届けする宅配事業では、1週間ほど前に注文をいただくのでほぼロスが発生しないため、食品ロスを防ぐメリットも打ち出しています。
市長
需給バランスがうまく合えばいいのですが、難しい面もありますね。近頃は、働く人が増えてきて、時間に対する価値がすごく高まってきました。そういった点では便利さは重要なことなので、生活に直結している点では供給側は大変ですよね。
市長
一方で山本さんのところのようにお蔵入り、廃棄に進むようなものをしっかりと回してくれることは、いいこことですね。子育て中は子ども服を買いにいくことが時間的にも経済的にも大変な時期でもあるので、身近でこのようなリユースの仕組みがあったら、どんなにありがたいことかと思います。仕組みをうまく回すことで、保護者にとっても、子どもに服を着せる楽しみも増えると思います。今後もっと、仕組みが広がってきたらいいですよね。
山本さん
コープこうべさんとの協働も行っていて、月に1回、店舗に子ども服の回収ボックスを置いてくださっています。
高井さん
徐々に取組みが浸透してきており、最近は多くの子ども服が集まるようになってきています。
市長
今日も会場に設置している回収ボックスにたくさんの人が服を入れに来てくれていていますね。
山本さん
今日だけでも50組ほどの方に協力いただき、段ボール箱6箱分くらいの子ども服が集まっています。
市長
仕分け作業も大変ですね。
山本さん
仕分け作業は、後日、キャリアブリッジさんという若者の就労体験を実施されている団体さんと一緒に実施する予定です。若い人たちにも体験を通じてこの取組みを知ってもらうような働きかけをしています。楽しみながら参加してもらうことで、学びや将来的な仕事にも繋がっていくようなことができたらいいと思っています。
市長
そうですね。色々な人や団体と連携して、楽しみながら関わることによって、次のステップにつながることは、大変良いことだと思います。
市長
易さんの外来生物から固有の自然を守る取り組みを、10年も前から始めたというのはすごいことですよね。
易さん
当時は、「カシノナガキクイムシ」という虫が樫の木やコナラ、アベマキなどのどんぐりがなる木の中に卵を産んで、道管を詰まらせて枯らしてしまうという被害が発生していました。その被害が豊中市内でかなり広がったため、アジェンダ21自然部会で調査したところ、東豊中町と新千里南町あたりの千里緑地第3区の中のコナラの多くが枯れてしまっている状況でした。その周りにある竹林を守らなければならないと思い、地域の方にチラシを配り、一緒にやりましょうとお声がけしたのがスタートでした。その時は豊中市とも自主管理協定を締結し、のこぎりやナタ等の備品購入の支援もしていただき、非常に助かりました。地域や行政から支援をしてもらったり、時には相談にも乗ってもらいながら、参加者が楽しく、怪我なくということを心掛けながらやってきたことが、ここまで10年間続けてこられた理由だと思っています。大事なのは自分たちだけでやるのではなくて、色々な人や団体と一緒に取り組むことだと思います。
市長
市有地の管理は、本当は市がやらなければいけないのですが、私も市内を色々と見て回っている中で気がついたのは、公園に雑草が非常に多いことです。予算を増やしたつもりでしたが、今年は雨が多かったこともあり、なかなか管理が行き届いていないように映りました。易さんがおっしゃるように、そもそも市役所だけで済まそうとすることで、バランスが悪くなってしまっていると感じました。皆さんの今日のお話を通して、豊中市の市民力を頼もしく、力強く感じています。
易さん
自然を守るためには適切な管理が大切ですが、行政もマンパワーや予算も限られている中で、地域の市民が一緒に協力していく必要があると思っています。
市長
ありがとうございます。
とよなかの環境をより良くするために
司会
今後、豊中の環境をより良くするために、皆さんが今後取り組んでいきたいことや豊中市に期待することを教えてください。
易さん
先ほども申しあげたとおり、森の手入れについては市と自主管理協定を結ぶことで協力し合える仕組みがありますが、自然環境全体について言えば、外来生物の繁殖によって被害を受ける豊中の自然を守ることや、開発により豊中の在来の生き物が失われないように対策を講じることも大切だと思います。
山本さん
もったいないを循環させていく思いは皆さん一緒だと思うので、豊中市のSDGsなどの施策のひとつにリユースが組み込めて、市のさまざまな部署やいろいろな団体とつながることによって取組みが広がればいいと思います。私も最初は、アーバンイノベーション事業への応募から始まったことがいろんなところとつながり、広がっていった経緯もあるので、それ以外の取組みも行政と市民とで一緒に作っていけたらいいなと思います。
市長
市役所や公共施設をハブに位置付けて、人だけではなく、物も含めてどんどん循環できる場所にしていけたらもっと広がっていくと思います。
高井さん
さきほど市長からもおっしゃっていただいたように、プラスチックごみ削減の取組みとしてマイバック運動が広がったように、我々民間事業者が単独で実施しているさまざまな取組みを豊中市と一緒に進めることで広げていきたいと考えていますので、今後もサポートしていただくことを期待します。
市長
ありがとうございます。今、地球は怒っています。行政だけでできることは少ないので、皆さんと力を合わせていくことに加えて、大学などの教育研究機関にも参画をいただいて公民学の三者でスクラムを組んでやっていければと思っています。もちろん豊中市も最大限、力を尽くしてまいりますので、引き続きお力添えをよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。
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